ジョブズの想いは生きている? – Apple本社でソフトウェアエンジニア兼プロダクトマネージャーを務める赤川未來さん

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本日のゲストは、ベイエリア20代社会人の会のオーガナイザーであり、Apple本社でソフトウェアエンジニア兼プロダクトマネージャーとして働く赤川未來さん(みらいくん)です。

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赤川 未來 (Mirai Akagawa):
2015年、カーネギーメロン大学でElectrical and Computer Engineeringの学士号を取得。学生時代にApple本社でソフトウェアエンジニアのインターンを経験。2015年より、Apple本社にてソフトウェアエンジニア兼プロダクトマネージャーを務める。

チームからプロジェクトが派生

編集部:今ってAppleでどんなことをされてるんですか?

みらいくん:肩書きはソフトウェアエンジニアなんですが、プロダクトデザインやプロダクトマネジメントもやってます。ただ、僕はAppleが直接出しているソフトウェアのコードは書いてなくて、どちらかというとビジネス側のプロジェクトマネジメントであったり、ソフトウェアクオリティのためのツールを作ったりしてます。

編集部:じゃあ毎日コードを書いてるというよりはマネジメントもやりつつみたいな感じなんですね。ちなみに、具体的にはどんなことをされてるんですか?

みらいくん:詳しいことは言えないんですけど、例えばどうやったらデータをうまくビジュアル化できるかというプロジェクトがあった時に、じゃあ実際にどういったビジュアルにするのかとか、どういう表を使うのかというのを設計する感じです。

編集部:じゃあ入社した時からずっとマネジメントをしてるんですか?

みらいくん:今は入社3年目なんですが、1年目の時はエンジニアとしてずっとコードを書いてました。2年目くらいから少しずつ自分でプロジェクトを持つようになって、そこから徐々にマネジメント側になってという感じです。

編集部:それはもともと自分でそっちに行きたかったんですか?それとも会社からこっちをやってくれって言われたんですか?

みらいくん:もともと僕は物作りのプロセスがすごく好きで、例えば、問題提起から入って、実際に何が問題で、どうすれば解決できるのかを考えるのが好きなんです。なので、プロダクトマネジメントには最初から興味がありました。ただ、直接それをしたいと言ったことはないので、ミーティングでの発言やプロジェクトでの立ち振る舞いとかにそういった想いが現れてたのかしれないですね。

編集部:Appleほど大きな会社になると、プロジェクトやプロダクトの数も膨大になると思うんですが、そのあたりは自分がこのプロジェクトに関わりたいって言ったらできるもんなんですか?

みらいくん:そこまで選べたりはできないんですが、自分でやりたいプロジェクトをしているチームに接触してコネクションを作って、マネージャー同士がOKとなれば移れることはあります。なので、個人レベルでの異動は結構ありますね。2個掛け持ちしてる人もいたりするので。ただ、そのあたりはプロジェクトや人事にもよるので、さすがにダメなものはダメだったりしますが、とはいえダメと言われるまではやります (笑)

編集部:ダメと言われるまでやるっていうのがアメリカっぽいですね (笑) ちなみにチームって比較的スモールなものがいっぱいある感じなんですか?

みらいくん:そうですね。僕のチームは、最近ちょっと増えて13人になったんですけど、少し前までは8人でした。基本的にはみんなエンジニアで、たまに僕みたいに肩書きはエンジニアだけどプロジェクトマネジメントをしている人もいるって感じです。あと、Appleではプロジェクトごとにチームを作るのではなく、チームがあってそこからプロジェクトが派生していくことが多いので、例えばプロジェクトAはチームA、B、Cでやってるけど、プロジェクトBはチームA、D、Eでやってるみたいなことが多いですね。

編集部:チームからプロジェクトが派生していくと…ちなみに、チーム内でのナレッジ共有とかはあるんですか?

みらいくん:ありますよ。僕のチームでは毎週デモというセッションがあって、毎週誰かしらが何かしらのプレゼンをするんです。基本的にはどんなトピックでも良いことになってるんですが、やはりテック関係のことが多いですね。たまに、ベーコンの特殊な調理法を紹介するみたいな変なのはありますが (笑)

編集部:そのデモっていうのは自分たちで自主的にやってるんですか?

みらいくん:比較的、俺らでやろうよ系ですね。例えば、プロジェクトAでは新しい言語を使ってて、この言語ではこういうことがうまくできるからこれはチーム内でもシェアしようみたいな。

編集部:ちなみに、チーム外とか社外から人を招いて講演会を開いたりもするんですか?

みらいくん:たまにそういうのもあります。ただ、社内に色んな分野のエキスパートがいるので、社内から招くことが多いですね。その方が情報漏洩を防ぐという観点からも安心ですし。

スティーブ・ジョブズの想い

編集部:もうApple Parkって出来たんでしたっけ?

アップル・パークは、カリフォルニア州クパチーノにある
アップルの新本社ビルを中心とする施設

みらくん:Apple Parkは今作っているところなので、引っ越しはまだ始まってないです。なので、今はInfinite loopというところにいます。ぶっちゃけパブリック以上のことは僕らも知らされてないんですよ。

編集部:やはり秘密主義なんですね。

みらいくん:間違いないです。そこは社内でもすごく厳しくて、プロダクトに関与してない限りその情報を知らされることはないですし、プロダクトの発表日も知らされないです。それはいつもそうで、必要以上に情報をばら撒かないっていうのはあります。なので、全てを知っているのはおそらく幹部レベルだけですね。

編集部:じゃあ、先日のiPhone Xの発表を見て、みんなで「おーこれかー」みたいな感じなんですか?

新本社のスティーブ・ジョブズ・シアターで開催された
iPhone Xの発表会 | TechCrunch

みらいくん:そうですね。まあどこかしらには関与してるので、知ってることもあったりはするんですが、基本的には発表日にチームのみんなで見る感じです。結構盛り上がりますよ (笑)

編集部:実際に中で働いてると、もう少し教えてもらいたいみたいなもどかしさはないんですか?

みらいくん:それはありますね。ただ、それが文化でもあるので。あとそれにはちゃんと理由があって、秘密を守ることによってプロダクトをローンチした時にユーザーに驚きを与えられて、結果としてユーザーの満足度も上がるんです。やはり、発表前に内容を知っていたら、発表会って面白くなくなるじゃないですか。まあ残念ながらリークとかはあったりするんですけど、やはりカルチャー的には秘密を守って発表会でバンッと綺麗に爆発させるって感じですね。

編集部:じゃあ情報漏洩の観点からも、社内で使うツールには制限があったりするんですか?

みらいくん:そのあたりはチームごとに違いますし、比較的個人の自由が効きます。ただ、データを外部に保存するようなプロダクトは一切使えないです。例えば、Google Docsなどのフリーソフトはユーザーコンテンツをもとに広告を打ったりするので、情報漏洩のリスクから業務上利用できないんです。

編集部:じゃあそういうのは全部自社開発なんですか?

みらいくん:自社開発するか、そういったデータを外部に保存しないって契約に書いてるプロダクトを使うかですかね。

編集部:めちゃくちゃ徹底してますね (笑) なんか情報に対する感度がすごい (笑) やはり、そういった文化というのは創業者のスティーブ・ジョブズから来てるんですか?

みらいくん:そうですね。Appleの文化はかなりスティーブ・ジョブズの影響が根付いてます。

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