【バイオで日米を繋ぐ!】InfiniteBio CEO 二村晶子さんと二村夏彦さん

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インタビュー4本目は、シリコンバレーでバイオテック企業の日米の架け橋を担う InfiniteBio, Inc. CEOの二村晶子さんと、兄でコンピュータサイエンティストの二村夏彦さんにお話を伺いました。

バイオ領域における日米の架け橋

編集部:早速ですが、InfiniteBioってどんなことをしてるんですか?

晶子さん:簡単に言うと、日系のバイオテック企業がアメリカに進出したいとなった際のお手伝いですね。早い話がコンサルティング業務なんですが、例えば、日本の大手企業がアメリカで投資先や提携先を探してる場合にはそれを手伝ったり、日本でうまくいってるスタートアップがアメリカに進出したいとなった場合にはそれを手伝ったりしています。

編集部:まさに日米の架け橋ですね。じゃあ、自社開発とかはしてないんですか?

晶子さん:創業時から一番継続しているのはコンサルティング業務ですが、今後は自社開発も進めていきたいなと思ってます。これまでは研究開発に時間とお金が使えなかったんですが、ここ数年間は色々アイデアがあるので、そちらの比重を大きくするように動いてます。

編集部:ちなみに今って従業員は何人くらいなんですか?

晶子さん:昔は6人くらいでやってたんですが、私の出産を機に大きく減って、今は少人数でやってます。最近は新しいビジネスプランができて、投資家からの支援も得られそうなので、また人を増やしていくつもりです。今年中にはある程度土台を固めて、来年には立ち上げてって感じですね。

ドクターを取る頃には仕事が用意されてた?

編集部:そもそもどういった経緯で InfiniteBio ができたんですか?

晶子さん:もともとは、私がイリノイ大学にPh.D.留学していた頃に、米国シカゴにいる住友商事のバイオテックチームから声をかけられたのがきっかけなんです。当時、ヒトゲノム計画がピークを迎えていて、バイオテクノロジーがすごい勢いで進化してたんですね。技術や装置も単純だったものがどんどん複雑かつ膨大になってって感じで。もともと住商 (米国) のシカゴのチームは物流やビジネスコーディネートといったビジネスサイドにはすごく強くて、技術が急速に進化していく環境下でさらなる発展をするために、私が技術評価や案件発掘といった技術的な専門性の部分をお手伝いさせてもらったんです。

ヒトゲノム計画(Human Genome Project)は、ヒトのゲノムの全塩基配列を解析するプロジェクト。1953年のDNAの二重らせん構造の発見から50周年となる2003年に完了した。ヒトゲノム計画 – Wikipedia

編集部:実際にはどんなことをしてたんですか?

晶子さん:初めは彼らの企業訪問に同行して科学者にインタビューしたり、学会で得た情報を提供する程度だったんですが、意外と彼らが喜んでくれるものだから、私もだんだんと面白くなってきて。。。気付いたら仕事が膨らんでて、ドクターを取る頃にはもうそちらでの仕事が用意されていたんです(笑)  本当はポスドクとして研究の道に残ろうと考えていたんですが、ドクターを取ったばかりにしてはかなり良い条件だったのと、ビジネスサイドも面白そうだなと思っていたのとで、ちょっとだけやってみるかと入社を決めました。

編集部:Ph.D.を取る頃には仕事が用意されていたってすごいですね (笑) ちなみに、入社後はどんな仕事をされていたんですか?

晶子さん:その時、ちょうど住商がコーポレートベンチャーキャピタルを作ったタイミングだったこともあって、そのファンドのチームに入りました。なので、技術評価とビジネスサイドの両方をやってましたね。3年くらい経った頃には契約の交渉だとかもやるようになってました (笑)

編集部:がっつりビジネスサイドですね (笑) その後、どういう経緯で独立に至ったんですか?

晶子さん:色々と順調だったんですが、2006年頃に住商全体で子会社を減らす動きがあって、どこかにくっつくか、独立するかという選択に迫られたんです。それまでは、自分の会社をやろうなんて全く思ってなかったんですが、いずれは住商を辞めて何か違うことをやらなきゃなという想いはあったので、辞めるなら今かなと思い独立することにしました。その方が人間関係もぎくしゃくせずに辞めれるので。。。なので、住商の人たちとは今でもすごく仲が良いです。

編集部:独立後はすぐにコンサルティングビジネスを始めたんですか?

晶子さん:独立した時点でネットワークと業界情報をかなり持ってたので、どんな日系企業の製品に対しても、瞬時にユーザーニーズや競合情報を提供できるようになってましたね。あとは一時期商社っぽいこともやってたんですけど、住商との関係が微妙になるのと、金銭的リスクを取るビジネスモデルが自分の性格に合わないという問題があったので、今はもうやらないことにしてます。

編集部:MITやハーバードがある東海岸もバイオベンチャーが盛んだと思うんですけど、西海岸を選んだのには何か理由があるんですか?

晶子さん:住商に入る時にボストンとシリコンバレーのどちらに会社を作るかを聞かれたんです。私は赤ちゃんの時にボストンに住んでいたことがあるので、まだ住んだことがないところに住みたいなと思ってて、また住商の方もシリコンバレーの方が良いと思ってたらしく、そのままシリコンバレーに決まりました。もちろんボストンやサンディエゴもバイオ系のスタートアップという観点からは良いんですが、気候や食べ物はシリコンバレーの方が良いですね。家賃は高いですが (笑)

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