サンフランシスコで起こるおにぎりブーム、火付け役が語る #全米500店舗展開への勝算

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サンフランシスコで密かに沸き起こる「おにぎりブーム」。安く、美味しく、手軽に食べられるところが、人種を超えて広く受け入れられている。

そんな「おにぎりブーム」の火付け役となったのが、大人気おにぎり屋チェーン『Onigilly』でCEOを務める金松孝司さんだ。

もともとはIT業界のプロマネとしてアプリ開発に携わっていた金松さんだが、「アメリカでも美味しいおにぎりが食べたい」という想いから2008年にOnigillyを創業。今でこそ大人気のOnigillyだが、その裏には「実家の売却・家族の帰国」という壮絶な過去があった。度重なる困難にもめげず、ただひたすらに夢を追い続ける男の『全米500店舗展開への勝算』に迫る!

▼本記事の内容
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・サブウェイを超える全米チェーンになる
・オペレーションを8割自動化
・競合はバナナとリンゴ?笑
・実家を売り、家族が帰国
・おにぎりネイティブ、到来
・メッセージ
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金松 孝司 (Koji Kanematsu):
起業家。2001年に早稲田大学第一文学部を卒業。卒業後、日本のIT系ベンチャーで事業マネジメントに従事し、2003年に東京でIT関連のスタートアップにジョイン。2005年にサンフランシスコでモバイル系アプリの開発会社を立ち上げ、2008年に『Onigilly』を創業。現在に至る。

サブウェイを超える

連日長蛇の列ができるほど人気の『Onigilly』

編集部:今はCEOとしてどういったことをされているんですか?

金松さん:今は次の10年を見据えた戦略を考えていて、その一環でリサーチ、協力会社の開拓、資本政策、幹部育成、ストックオプションのプランニングなどをやってます。あとは、定期的に幹部メンバーとミーティングして戦略などをシェアしてますね。

編集部:今はサンフランシスコに4店舗ほど展開されてますよね。

金松さん:そうですね。ただ、僕らの目標がOnigillyを全米に500店舗展開して全米1のチェーンを作ることなので、今やってる4店舗っていうのはあくまでそのプロトタイプなんです。

編集部:500店舗ですか?しかも、4店舗がプロトタイプ?

金松さん:今、サンフランシスコのFinancial Districtという狭いエリアに4店舗とも密集しているんですが、それって普通に考えたら勿体無いやり方なんですよでも、僕らはその4店舗のうち1店舗を仮のセントラルキッチンにして、そこから他の3店舗におにぎりの具材を配送することでミニチェーンみたいにしてるんです。

金融街に4店舗が密集。どの店舗も高評価!

編集部:チェーン化するためのベータ版みたいな感じなんですね。

金松さん:だから、そのセントラルキッチンとなる店舗 (Kearny) には、地下に大きな冷蔵庫があって、2階をオフィスみたいにしているんですが、周りの3店舗はすごく小さくて、あくまでそこではご飯を炊くだけという風にしてるんです。

編集部:めちゃくちゃ考えられてる!

金松さん:だから、売っているものはおにぎりなんですけど、僕自身は飲食店のオーナーだとは全く思ってなくて、僕らがやってるのはあくまでサブウェイみたいなものなんです。

編集部:あのサンドイッチのサブウェイですか?

金松さん:はい。例えば、マクドナルドとか他の大きいチェーンだったら、キッチンも必要だし、従業員のトレーニングも必要なので、初期投資に何億円というお金がかかるんですが、それがサブウェイの場合、キッチンもいらないし、誰でも簡単にできるので。

編集部:たしかに、必要なものってトースターくらいですよね。

金松さん:そして、僕らが目指しているのはああいうスタイルなんです。だから、おにぎり屋の1店舗1店舗にキッチンがあっちゃだめなんですよ。あとシェフがいないと回らない仕組みだと意味がないんです。

編集部:めちゃくちゃ面白いですね!

金松さん:今はその仕組みを最終調整してるところで、今度大きなセントラルキッチンをここ (Redwood City) に作って、今度はベイエリア内でチェーンを組んでみようと思ってるんです。そして、それがうまくいったら全米に展開して行こうという感じです。

おにぎりはいずれも2-3ドル。この辺りだと相当良心的な価格
左からひじき、高菜、鶏そぼろ

オペレーションを8割自動化

編集部:ちなみに、その仕組みというのはどういったものなんですか?

金松さん:例えば、今度パロアルトに5店舗目を出そうとしてるんですが、次の店舗からはお米の水含量とか水の浸透率を自動でチェックする炊飯器を導入するんですよね。そういうオペレーションの部分も8割くらい自動化しようとしてるんです。

編集部:飲食業界にもしっかりITを組み込んでいくわけですね。

金松さん:実はお米を炊く作業ってかなり難しくて、例えば日本人でずっとシェフをやってる人だったら、温度とか湿度を見ながら完璧にお米が炊けるんですけど、じゃあそれが30カップとかのでかい釜で、しかも日本人じゃないお米のこともよく分からない人たちが炊けるかというと、まず出来ないんですよね。

あと、朝だと時間があるから水につけて30分経ってから炊くけど、急いでると洗ってすぐ炊いちゃうということもあるし、雑にやっちゃうとあまり洗わなかったり、逆に洗いすぎちゃったりっていうこともあるんです。だから、お米を炊くのはマニュアルでやるのがすごく難しいんですよね。

編集部:たしかに。

金松さん:今は三角形のお米のパテを型を使って手で作ってるんですが、そこも今、日本の会社にひたすらパテだけを作るロボットを作ってもらっていて、それが夏くらいには来る予定なので、そうすればそこも自動化できますね。

編集部:そしたらほぼ全自動ですね!

金松さん:だから、米を炊く時のミスさえなくなれば、他にミスしようがないというか、あとは具材を乗せて包むだけなので誰でもできるのかなって思うんです。ただ、だからと言って全部を自動化すると手作り感がなくなるので、具材だけは手で乗せて包むようにしてます。

編集部:たしかに、全部自動化されてると無機質ですよね。

金松さん:具材も工場で生産されたものを卸売業者が在庫管理していて、そこも需要予測に応じてオーダーできるような仕組みが出来かけてるんですよね。

編集部:そうなると下手したらサブウェイよりも簡単になるんじゃないですか?

金松さん:有りえますね!

編集部:ちなみに、全米への展開を考えると製造などのサプライチェーンの整備も必要かなと思うのですが、そこは大丈夫なんですか?

金松さん:実は全米のサプライチェーンも3-4割くらい整っていて、そこも5-6年かけて食品メーカーと卸売業者をしつこく口説いたんです(笑) やっぱり、2店舗とかの段階では全然動いてくれないし、そもそも前金じゃないと売ってくれなかったので。だから毎回取りに行ってたんですけど。

編集部:それはつらい。

金松さん:ただ、その時から、500店舗になるからオリジナルの具材を作ってくれませんかとは言ってたんです。

編集部:その時から全米500店舗って言ってたんですね(笑)

金松さん:それで、5年くらいかかって4店舗になってやっと振り向いてくれたって感じで。だから、後半はやけになって、振り向いてくれるまで強引に店舗を増やしてました。本当は4店舗もいらなかったんですけど(笑)

編集部:プロトタイプを作るって言うと交渉力ありそうですもんね!

具を乗せて包むだけなので、誰でも簡単にできる!

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SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

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