【担当範囲は日本全土くらい!?】米国パソナで営業として働く野入賢吾さん

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この記事の所要時間: 1147

インタビュー7本目となる本日のゲストは、米国パソナのサンフランシスコ拠点にて日系企業の米国進出をサポートされている野入賢吾さん (けんごさん) です。

5分のまとめ動画 (字幕あり)
3:00~のフラタニティの話は必見です(笑)

担当範囲が絶対おかしい!(笑)

編集部:さっそくなんですけど、今ってどんなことされてるんですか?

けんごさん:今は米国パソナ (Pasona N A, Inc.) のカリフォルニア州にあるサンフランシスコ拠点で営業として働いてます。米国パソナとしては、米国に進出される日系企業の人事、経理、給与関連業務といったオペレーション業務のサポートをしてます。なので、お客様がコアビジネスに集中できるようにお手伝いするのが僕らの仕事ですね。

編集部:営業といっても幅が広いですが、具体的にはどういったことをされてるんですか?

けんごさん:僕らが売ってるものは形のないサービスなので、お客さんによしこれを売ろうというのはないんです。なので、僕らの役割は日系企業の悩みを聞いて、何が問題なのかを気付かせてあげることなんです。それがパソナで解決できることならパソナのサービスを提供するし、それができなければ他の企業を紹介して解決する感じです。

編集部:問題を見つけてあげるところからソリューション提供までを一貫して行うと。でも、他の企業を紹介してしまうとパソナとしては損失になりませんか?

けんごさん:僕らはそれを損失だとは思わないんです。例えば、弁護士とか会計士を紹介してお客様の問題が解決したら、パソナのクレジットになるんですよ。そしたら、何かあったらまた立ち寄ってくれるので良い循環が生まれるんです。僕らはそれをワンストップサービスと呼んでて、パソナに来てもらえれば人材も、労務も、管理部門もサポートしますよと。

編集部:逆に米系企業が日本人を探してるパターンもあったりするんですか?

けんごさん:多くはないですけどありますね。今シリコンバレーにいる企業の中には、日本を次のターゲットにしているところもあるので、それなら日本に進出する前にこっちで日本語と英語のバイリンガルを雇っておこうという動きはあります。あとは米系企業の日本進出において、米国パソナが日本側でカントリーマネジャーを探したりもします。

編集部:ちなみに今ってどれくらいのエリアを担当してるんですか?

けんごさん:僕はサンフランシスコ拠点を一人で担当してるんですが、エリアとしてはSan Brunoから北ですね。

編集部:北というと…

けんごさん:サクラメントもワシントン州もオレゴン州も担当範囲です(笑) まだそこらへんは僕も力を入れれてないんですけど、一応そう言われてます(笑)

編集部:そのうちカナダまで行くんじゃないですか?(笑)

けんごさん:行きたいですね(笑)

けんごさんの言う担当範囲。絶対何かおかしい(笑)

編集部:それ日本全土くらいの範囲ですよ(笑) ちなみに、他に拠点はないんですか?

けんごさん:米国パソナは全米で10拠点あるんですが、今僕がいるサンフランシスコ拠点が一番新しくて、2015年の冬に開けたばかりです。

編集部:その開けた背景としては、UberやAirbnbのようなサンフランシスコ発のスタートアップとかテック企業が増えて来て、サンフランシスコへの注目度が上がっているからですか?

けんごさん:まさにそれですね。最近だと、サンフランシスコに進出する企業も増えて来てるので、そこを現地エリアで固めようと。あと、前まではサンノゼ拠点からサンフランシスコのエリアをカバーしてたんですが、物理的な距離の問題もあって営業効率が悪かったんですよ。

日米でのパソナの違い

編集部:ちなみに日本のパソナとの繋がりってあるんですか?

けんごさん:結構繋がってますよ。僕は新卒でカリフォルニア州にあるオレンジカウンティ拠点に入社してOPTで1年間働いたんですが、その後H-1Bビザが取れなかったので一時的に日本に戻って来たんですね。その時にいたのが、パソナ本社のグローバル事業本部だったんですが、そこが海外の拠点と結構やりとりをする場所だったので、日米両方のパソナを経験した上で言うならば、日本とアメリカでの情報共有はちゃんと出来てるなと思います。

OPT (Optional Practical Training) とは、学生ビザ (F-1) で就学している学生が専攻した分野と関連のある職種で、プログラム修了後に企業での実地研修を行うもの。留学サイト.com
H-1Bビザは、企業が専門職の外国人労働者を雇用することのできる非移民ビザです。-ハタラク

編集部:やはりアメリカと日本だと同じパソナでも働き方は違ったりするんですか?

けんごさん:日本のパソナの場合、派遣だったら派遣、人材紹介だったら人材紹介、バイリンガルだったらバイリンガルという風にそれぞれの部署があって、そこに各部署の担当者がいるんですよ。でも、アメリカだとそれを一人の営業がやるんです。なので、そこが一番大きな違いですね。

編集部:両方経験してみてどうですか?

けんごさん:僕は両方良かったなと思ってます。日本のパソナにいた時は人材紹介だけだったんですが、1つのことに集中して専門性を深めることができたのは良かったなと思います。だた、お客様にこういうのが欲しいと言われた時に、自分のサービスラインでは対応できないこともあったので、もどかしさを感じることはありましたね。

編集部:ちなみに日本のここに驚いたみたいなのってありますか?

けんごさん:日本にいた時は色々と衝撃的でしたね。朝礼だとか、エレベータに乗る順番だとか、誰がどこに乗るのかとか。あとは上司と話す時はジャケットを着なきゃいけないとか。そういう礼儀に関しては全く分からなかったので、よく怒られました。

編集部:たしかにずっとアメリカにいるとそんな文化分からないですよね。逆にアメリカはどうですか?

けんごさん:アメリカの場合、基本的に人材紹介、管理部のプロフェッショナルサービス、人事コンサルの3つのラインで仕事をしているので、お客様の悩みに幅広く対応することができて視野も広がりましたね。あとは、顧客のニーズに合うサービスがなければ社内で作りましょうっていう提案もしやすい環境なのですごく働きやすいです。なので、新しいサービスも結構生まれてますよ。

編集部:ちなみに日本からこちらに戻って来た時にオレンジカウンティではなくサンフランシスコになったのは自分が希望したからですか?

けんごさん:そうですね。本当はサンフランシスコというかシリコンバレーという言葉に惹かれてたのがあって…今ってシリコンバレーが一種のブランドみたいになってるじゃないですか。でも当時の僕は具体的になんでシリコンバレーがすごいのか分からなかったんですよ。だったら、それを実際に自分の目で見てみたいと思ってここを希望しました。

編集部:僕らも全く同じ想いでここにいます!

日系企業が抱える悩み

編集部:ちなみに、今ってメルカリkintoneのようにポテンシャルのあるスタートアップはアメリカにもポツポツ出て来てるじゃないですか。でも、やっぱりまだその成功事例って少ないかなと思うんですが、日系企業はどこに躓いているんですかね。

けんごさん:意思決定の遅さっていうのは一個聞きますね。こっちだと社長たちがその場でよしやろうって決めるけど、日系企業だと一旦持ち帰らせて下さいって言って1ヶ月経つこともあるので。それで日本側がやりたいってなった時には、もうこっち側は他のパートナーを見つけてしまっていると。

編集部:たしかに、スピード感は大事ですよね。じゃあ、こっちで伸びてる日系企業っていうのは、それこそ本社のトップや役員が直接こっちに来て意思決定しているって感じなんですか?

けんごさん:そうですね。それか、もうオペレーションのトップを現地の人に任せてるかですね。それでマーケティングとかも現地の人に任せると。僕は任せるという意思決定も大事だと思います。まあ、逆に任せすぎちゃって日本の子会社なのに全く日本のコントロールが効かなくなって困ってる企業もいますが(笑)

編集部:それはたしかに難しいところですが、本社に依存しすぎちゃうと意思決定が遅くなるのはありますね。

けんごさん:あとは単純に言語や文化の違いで困っている人も多いです。営業やプレゼン、ネットワークの仕方も日米で全然違うので。例えば、日本人ってネットワークイベントに行くと、名刺入れを銃のように構えながら歩いてたりしますよね(笑) 日本だととりあえず名刺を渡すっていう文化があるけど、こっちの場合はまず話してみて興味を持ってもらえたら名刺を渡すって感じなので。だから、日本人は自分たちの会社の良さを出したり、個人のバリューを出したりするのが苦手なのかなと思います。

編集部:たしかにこっちで名刺を配ってるアメリカ人ってあまり見ないですね(笑)

けんごさん:あと進出企業に多い悩みが、現地でマーケットの拡大を担当している人が外に出られないってことですかね。日本からアメリカに来る方って大体が営業やオペレーションのトップをやってた人なんですけど、こっちだと人件費もかなり高いので、一人で全部やっちゃうんですよ。なので、経理業務や雑務に時間を取られてなかなか外に出れなかったりするんです。

編集部:たしかにこっちだと日本と比べて給与水準も高いし、AppleやGoogleのように待遇の良いところもあるから採用も難しいですもんね。

けんごさん:そうですね。実は、日系企業の方でもこっちの現地にいる人はそれを分かってるんですよ。でも結局予算を出すのが日本の本社側なので、本社側を説得できなくて予算が出ないんです。こっちで新卒を雇うのって大体600万円くらいかかるんですが、本社は「そんなバカな。日本なら半分で雇えるぞ。」と…

編集部:それでさっき言ってたみたいに日本の本社にこの金額だったらどうかって問い合わせてる間に、優秀な人材が他の企業に取られていくわけなんですね。

けんごさん:そうですね。

編集部:ちなみに職種にもよるとは思いますが、サンフランシスコやシリコンバレーでの給与の相場ってどれくらいなんですか?

けんごさん:営業だと新卒で600万円とかですね。エンジニアだったら1000万円とかもあります。まあ日系企業でそこまで払うところはないですが。

編集部:新卒で600万円って日本ではなかなかないですよね。

けんごさん:そうですね。あと採用してからもよくあるトラブルとしては、こっちの人って契約書に書かれてたことしかやらないんですよ。日本人的には残業して当たり前だし、契約書に書かれてなくてもそこは気を使って動くでしょって思うかもしれないですが、こっちではそういうことがなくて、そういったミスマッチはありますね。

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