葦船で太平洋を渡るーー世界の辺境を旅した探検家の『軌跡と挑戦』

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船が半分に割れた?サメドン?

編集部:ちなみに、途中でトラブルとかってないんですか?

石川さん:いや、あるよね。太平洋を横断しようとした時は船が半分に割れたよ。まあトラブルどころじゃないけど(笑)

編集部:え、タイタニックみたいな感じですか?(笑)

石川さん:ああいう風にバキッと折れたんじゃなくて、じわじわと前と後ろに別れたって感じかな。1日目にロープが切れ始めて、次の日は10本、その次の日は40本みたいな感じでどんどん切れ続けて…

ロープが切れた時の様子

編集部:それやばくないですか?(笑)

石川さん:この藺草 (いぐさ) の仲間って水を吸うと膨張するっていう特徴があるから、ぐっと縛っておくと濡れた部分が膨張して膨らむのね。そうすると隣同士の隙間がなくなってぴったりするから、逆に水が入りにくくなる。でも、ずっと膨らみ続けるとある日プツッと切れちゃうんだ。一度切れるとそこから水がもっと入るから、もっと膨らむと。

編集部:じゃあ原理的には一度切れ始めたらどうしようもないと?

石川さん:だから、ロープが切れたら、シュノーケルで潜って切れたところを新しいロープで結ぶの。でも葦船の周りってサメとかも泳いでるから、新しいロープを結ぶ時はサメと戦いながら潜るんだよ。っていうのも釣って食べた魚の血とか内臓を捨ててるから。

ロープが切れたら新たなロープで結び直す

編集部:それ危なくないですか?(笑)

石川さん:俺と先輩が潜ってる時に1回アタックされて、100メートルくらい先にサメがいると思った数秒後には先輩の目の前にサメが来てて、それでその先輩が手を重ねてドンって突き返したの(笑)

編集部:反撃したんですか?(笑)

石川さん:これが今流行りのサメドンね(笑)

編集部:サメドンはされたことないですね(笑)

石川さん:まあそういうことがあって、船が半分になっちゃって。

編集部:それはどうなったんですか?

石川さん:みんなで話し合った結果、もうどうしようもないねってことで、そこからは漂流したね。船の後ろ半分だけになって、そこに1本だけマストが残ってたから、おしりに付いてた舵を切り取って反対側に付け変えて、後ろを前にして進んでた。そしたら、翌朝起きたら「大変だ、舵がないぞ!」って(笑)

編集部:やばいやばい(笑) そういう時って「死ぬかもしれない」とは思わないんですか?

石川さん:そう思ってる人もいて、そういう人は寝込んでたね。俺も多少はあったけど、それでも直さなくちゃいけないから俺はとにかくそれに集中してた。集中すれば何とかなるから。それで結局1000キロくらい漂流して、一番近い島に着いたんだよね。

編集部:その状態で1000キロ?もうエピソードが濃すぎです(笑) 今回の葦船プロジェクトではそういったトラブルがないように祈るしかないですね。

メッセージ

編集部:では最後に何かに挑戦したいと思っている方に探検家の石川さんからメッセージを頂けませんか?

石川さん:僕は葦船から学ぶことがすごく多いんだけど、特に葦船の航海は頑張ったからって前に進むわけじゃないんだ。逆に頑張らなくても良い風さえ吹いていれば昼寝してても進む。だから「風に乗る」っていうのが僕のメッセージかな。

編集部:一喜一憂せずにですね。

石川さん:やっぱりどんなに頑張っても上手くいかない時はあるからさ。そこはすごく海と似てて、そういう時は帆を降ろして体を休めたり次のための準備をする。それで、良い風が吹いたら思い切って帆をあげて進むと。結局、風が吹いてない時に頑張っても勿体無いからね。

編集部:間違いないですね。

石川さん:その一番の風っていうのは自分の心の中に吹く風だと思うから、自分がやりたくなったら思い切って帆を上げれば良い。そういう時は本当にふわっと進むから。逆に躊躇する時っていうのは自分に風が吹いてない時だと思うから、そういう時はじっくり構えれば良いと思う。必ず次のやりたいタイミングが来るはずだから無理して出発することはない。

編集部:探検家ならではのメッセージですね。石川さん、本日はどうもありがとうございました!

まとめ

本日は、砂漠、アラスカ、ジャングルと世界の辺境を旅してきた探検家の石川仁さんにインタビューしました。古代から伝わる先人たちの知恵や想いを葦船を通して現代に繋げようと挑戦する石川さんからは、人と人との繋がりが希薄化する現代社会だからこそ忘れてはならない大切なものを教えられたように思います。僕も石川さんのような冒険心を持って人生を歩んでいきたいと思います!

葦船プロジェクトに興味のある方は「石川仁オフィシャルサイト」をご覧下さい。

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(書き起こし協力: 藤本沙織/撮影協力: 西林杏奈)

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