葦船で太平洋を渡るーー世界の辺境を旅した探検家の『軌跡と挑戦』

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アラスカそしてジャングルへ

石川さん:サハラ砂漠の横断はすごく深い旅で、インドに次ぐ自分の転機になりました。それまでは学校の先生になろうと思っていたので、サハラ砂漠から帰ったら教職を取ってそのまま先生になるつもりだったんだけど、何だか違うなと思って旅を続けることに決めたんです。ただ一応真面目なので、ちゃんと勉強して卒業はしました。

編集部:そこはちゃんとしてるんですね(笑) その次はどこに行ったんですか?

石川さん:砂漠が暑かったから今度はアラスカに行こうと、アラスカの北端にあるポイント・バローというマイナス40度くらいのところに行って、そこでエスキモーの人たちのクジラ漁を手伝ったり、アザラシの皮で一緒に船を作ったりしました。

編集部:砂漠とは真逆のところに行ったわけですね(笑)

石川さん:ただ、砂漠もアラスカも生き物が少なかったから、今度はジャングルに行こうということで、アマゾン川より少しマイナーなオリノコ川支流のメタ川 (Rio Meta) というところに行って、そこを丸木船で2ヶ月かけて800キロくらい下りました。

編集部:じゃあ釣りをしながらですか?

石川さん:そうそう、ピラニアを釣りながら。

編集部:え、ピラニアって食べれるんですか?(笑)

石川さん:小骨が多いから、天ぷらにすると食べやすいよ。

編集部:そのノウハウ(笑)

石川さん:餌は何でも良いからソーセージとかを釣り針に付けて、ぴょんって水に入れると、1秒後には釣れる。また釣ろうと後ろに振りかぶったら、今度は後ろで釣れてたとかもあったなー(笑)

編集部:入れ食いですね(笑) ジャングルでの川下りはどうでしたか?

石川さん:やっぱりジャングルにはジャングルの音っていうのがあって、人間だとオーケストラが色んな楽器を持ち寄って演奏するけど、ジャングルにもその自然バージョンがあって、何億もの生き物たちが奏でるメロディーは最高だったね。

編集部:自然のオーケストラ的な?

石川さん:そうそう。でも、人間がうるさくしてると不協和音になるから、毒グモとかに「うるさい、うるさい」って狙われたりするんだよ。

編集部:自然に溶け込まないといけないわけですね。

アンデス山脈で葦船に出会う

編集部:砂漠、アラスカ、ジャングルと来て、次はどこに行ったんですか?

石川さん:暑いところ、寒いところ、ジャングルと旅して、じゃあ他にどういうところが地球上にあるんだろうって思った時に、高いところ、特に3000メートル以上のところに住んでる人たちに会いたいなと思って、次はアンデス山脈に行ったね。

編集部:平地はもうクリアしたから高いところに行ったわけですね(笑)

石川さん:最初はクスコに住んで、マチュピチュとか、遺跡を巡る観光ガイドを2年くらいやったね。そこで高地民族とどうやって出会おうか悩んでた時に、砂漠ならラクダ、ジャングルなら丸木船みたいな現地の乗り物にこだわってたんだけど、そんな時にチチカカ湖にある葦船を見て「あ、これだ!」と思ったね。

編集部:そこで葦船に出会うと。

石川さん:ちなみにチチカカ湖ってどれくらい大きいか知ってる?

編集部:標高3800メートルだから、そんなに大きくない気がしますが…

石川さん:実は琵琶湖の12倍あるんだよ。

編集部:12倍!?

石川さん:ぐるっと周ると1000キロくらい。

編集部:え、そんなに大きいんですか!?(笑)

石川さん:そこで葦船の作り方を習って、ガイドの仲間や旅人たち5人で4ヶ月かけてチチカカ湖をぐるっと一周したね。それが葦船との出会いで、最初の航海かな。

編集部:写真とかないんですか?

石川さん:こんな感じでお祭り隊って言って、村々に行った時に手品とパントマイムと音楽を奏でる代わりに食べ物と寝るところを提供してもらうみたいな。葦船でやってくる旅芸人みたいな感じかな。

編集部:旅芸人(笑)

石川さん:その4ヶ月の間に船のロープが切れ始めたから、新しくロープを結び直してもらうために、葦船職人が集まる島に行ったんだ。そしたら、たまたまスペイン人の探検家がいて、職人さんたちと話してたんだよね。で、お互いに何をやっているか話してたら、なんと彼らは大きな葦船を作って太平洋を渡ろうとしてたんだ。

編集部:太平洋?(笑)

石川さん:彼はユネスコの文化大使で、民族移動の旅を検証するためにユネスコの公式プロジェクトとしてそれをやろうとしてたんだ。それでよくよく話を聞いてみると、ちょうど日本に向かおうとしていて、日本人のクルーを探してるからお前来ないかと(笑)

編集部:そんな運命的な出会いあります?(笑)

石川さん:それで是非乗りたいってなって、そこから今度は海に向かったの。だから、砂漠、アラスカ、ジャングル、山ときて、最後に海って感じだね。ちなみに中学も高校も新宿の歌舞伎町だったから、どんどん文明から離れてるね(笑)

太平洋横断に挑戦するも…

編集部:そのプロジェクトはどうなったんですか?

石川さん:最初はイースター島に行って、そこで一年くらい住んでたね。そこで葦の刈り取りをして船を作ったんだけど、誘われたにも関わらずなぜか俺はクルーに選ばれなかったんだ。イースター島の人が凄すぎて俺が圧倒されたっていうのもあったけど、いまいちアピールできなくて…

編集部:選抜があったわけですね。

石川さん:そうそう。だから最初はポリネシアの人たちだけでイースター島からオーストラリアに向けて出航したんだけど、結局3日後にマストが折れて、2週間後には船がバラバラになったらしい。

編集部:それどうなったんですか?

石川さん:救助が来て助かったみたいだけど、すごく大変だったらしいよ。それで今度は南米で船を作って日本に向かうってまた呼ばれたの。

編集部:懲りない人たちですね(笑)

石川さん:最初は「本当かよ?」みたいな感じだったけど、どうしてもお前が必要だって言われて参加したんだ。っていうのも前の時にイースター島の人たちとすごく揉めたみたいで、もっと中立なやつが必要だって。それでその時はこういう船を作ったね。

葦船を作る様子

出来上がった葦船は全長30メートルほど

編集部:おおー。

石川さん:30メートルくらいあるかな。

編集部:昔の海賊みたいな感じなんですね。

石川さん:まあスペイン人だからそれっぽくなっちゃった。

編集部:この航海はうまくいったんですか?

石川さん:結局着いたのが、マルケサス諸島だったんだよ。だから太平洋の横断はできなかった。

編集部:じゃあ途中くらいだったわけですね。

石川さん:そうそう。実はこの後に大西洋の横断にも挑戦したんだけど、それも大西洋の途中の島で終わってしまって。。。なので、そのあと日本に帰ってきて日本でプロジェクトを立ち上げたんだ。その時は17メートルくらいの葦船を作って、それで高知県から伊豆諸島まで13日間かけて1000キロくらい航海したね。

編集部:それは行ったんですか?

石川さん:行った行った。

編集部:まさに探検家ですね(笑)

葦船の作成風景

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SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

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