本日のゲストは、日本唯一のユニコーン企業とも言われる「メルカリ」のサンフランシスコ (SF) オフィスでAndroidエンジニアとして働かれている牧野直矢さんです。
カナダの大学を卒業後、カナダでソフトウェアエンジニアとして働いていた直矢さんが、なぜメルカリのSFオフィスで働くことになったのか、またカナダとアメリカの企業文化にはどんな違いがあるのか等、注目トピックが満載です!
牧野 直矢 (Naoya Makino):
2011年、カナダのバンクーバにあるSimon Fraser UniversityでComputer Scienceの学士を取得。その後、2011年から2016年までLegal Practice Management Softwareを展開するClioでAndroidエンジニアを務め、2016年よりMercari (USA) にジョイン。現在はEngineering Leadを務めている。
今何をしているのか
編集部:早速ですが、今はメルカリのSFオフィスでどんなことをされてるんですか?
直矢さん:元々メルカリのアプリって日本、US、UKで同じコードベースだったんですよ。でも、2016年の10月か11月くらいにUSはUSで新しいものを作り直そうってなって、今年の3月くらいに新たにローンチしたんですね。なので、今は新しい機能の開発だったり、A/Bテストだったり、パーソライゼーションとかに力を入れてます。あとは、リスティング(出品)の際に売り手がスムーズに操作できるように工夫したりとかもやってますね。
編集部:そのコードを分けたというのはどういう背景なんですか?
直矢さん:やはり開発スピードですね。日本、US、UKという3つの時間差の中で開発してると、一つのチェンジに対して、例えばUSの変更が日本やイギリスにどう影響を及ぼすのかを考えないといけなくて、コミュニケーションコストも高かったんですよ。
編集部:たしかにその3つって一番時差が大変ですもんね(笑)
直矢さん:あと既存のアプリは3年くらい同じコードベースで書いてたので、新しいテクノロジーに挑戦するにはちょうど良いタイミングだったのと、あと大胆にUIを変えたかったのもあって、それなら新しく書き直した方が早いんじゃないかと。
編集部:では、別々に分けてローンチしてからは、開発や改善のスピードが上がったなという感覚はあるんですか?
直矢さん:そうですね。色々とやりやすくなりましたね。コードに対するクオリティも明らかに高いと思うし。あとは、新しい変更に対しても結構柔軟に対応できてるんじゃないかなと思いますね。
編集部:僕は日本とアメリカ両方のアプリを使ったことがあるんですが、結構UI違いますよね。あれって誰がデザインを決めてるんですか?
直矢さん:デザイナーが地域ごとに違っていて、USはUSでデザインやプロダクトマネージメントをやってるので、自然と違うテイストになってるのかなと思います。でも日本でやったA/Bテストの結果が良ければ、こっちでもやってみようみたいな話はちょいちょいありますけどね。
編集部:じゃあ、そういう試作ベースでの共有はあるけど、それをやるかやらないかの判断はローカルでって感じなんですね。
秘密のミソはReact Native
編集部:ちなみに、アプリを作り直した時は何人くらいでやったんですか?
直矢さん:Androidだけを見ると、基本的に僕ともう1人のエンジニアの2人で、また度々凄腕の方にヘルプしてもらいました。
編集部:え?2人ですか?(笑)
直矢さん:そうですね(笑) 秘密のミソはReact Nativeで、JavaScriptのエンジニアの方にReact Nativeを手伝ってもらうことで、スピード感を持って作れたんですよ。だから、サーチとかホームとかのコアな部分はネイティブで作って、ある一定の部分はReact Nativeで作ってって感じです。
編集部:AndroidとiOS間でUIは同じなんですか?
直矢さん:ほとんど一緒ですね。たまにAndroidとiOSでフレーバーを分けてますが、ある一定の部分はReact Nativeで作ってるんで、ミューチュアルなデザインになってます。
編集部:ちなみに開発で一番苦労された部分はどこですか?
直矢さん:どこだろうなー。ホームとかはAirbnbで恒例のEpoxyというライブラリーを使ってるんですが、色んなタイプのコンテンツがあってUIも結構複雑なので難易度も高かったんじゃないですかね。
元FB幹部の影響力は大きい!
編集部:サンフランシスコのオフィスにはどれくらいエンジニアがいるんですか?
直矢さん:20人くらいだと思います。Androidは僕を入れて2人、iOSに2人、React Nativeに3人、APIサイドに7人、QAに3人、デザインチームに2人ですね。デザインチームはインターンもいるので、それも合わせると4-5人くらいですかね。
編集部:じゃあ、このオフィスにはエンジニアサイドが多いんですかね?
直矢さん:そんなこともなくて、マーケティングチームとか、カスタマーサポートの人とか、あとはコーポレート系だとアカウンティングとかコンプライアンス系をやってる人もいますよ。
編集部:ちなみに、エンジニアって現地の人と日本人の割合は半々くらいなんですか?
直矢さん:立ち上げ初期の頃は日本人の方が多かったんですが、最近はローカル採用に力を入れてて、最近入ってくる人はみんなローカルの方なので今はどうだろうなー。半々くらいなのかな。
編集部:ローカルの人は英語しか喋らないんですか?
直矢さん:そうですね。なのでオフィスは基本的に英語ですね。
編集部:ちなみに、元Facebook幹部のジョン・ラーゲリンさんがメルカリに参画してから、何か現地の採用に変化はありましたか?
直矢さん:やはり、彼のコネクションもあって採用周りで有利に働く機会もありますね。
編集部:やはりキーパーソンが一人いるだけで大分違うんですね!
オフィスに飾られたスタッフの写真