やはり過酷なカーネギーメロン大学
編集部:じゃあ、そういう刺激的な出会いもあって大学院はアメリカにしたわけですね。
成田さん:そうですね。たしか大学2年生の時にすでにアメリカの大学院も視野には入れていたんですが、実際にどうするかは交換留学をしてから決めようと思ってました。
編集部:最終的にはカーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの修士号 (マスター) を取られていますが、以前取材した未來くんからカーネギーメロン大学のコンピュータサイエンスはスーパー過酷でずっとブートキャンプみたいな学校だとお伺いしました(笑)
成田さん:僕は2年間だったんですが、あれを4年間は半端ないと思います(笑) 特にICUからカーネギーに移ったので、物理的にも全然環境が違って大変でしたね。冬は-20度とかになるので、息するだけで痛いみたいな(笑)
編集部:やっぱり過酷ですね(笑) ちなみに、入る前から過酷っていうのは知ってたんですか?
成田さん:いや、全然知らなかったです(笑) なんか学期が始まる前に近所のスタバに行ったんですけど、工学部の横でもないのにみんなコーディングしてて画面が黒いっていう…それで「ここガチなんだな」って思ったのを覚えてます。
編集部:異様な空間だったんですね(笑) 当時はどんな生活だったんですか?
成田さん:とりあえず課題の量がやばくて、まず休めなかったです(笑) なので、みんなで協力して徹夜で課題を終わらせて寝るみたいな(笑) 日曜から木曜までずっとそれで、金曜休んで、土曜の夜からまたスタートみたいな感じでした(笑)
編集部:えげつないですね(笑)
成田さん:けど、振り返ってみると相当学びましたよ!ICUで学んだ何十倍もその2年間で学んだ気がするので、行ってよかったと思います。
グリーンカードの性別が「F」だった?
編集部:そしてカーネギーを卒業後はOPT*を使ってPinterestで働き始めたと。
*OPT (Optional Practical Training) とは、学生ビザで就学している学生が専攻分野と関連ある職種で就労できる制度。
成田さん:そうです。最初はOPTで、そこからH-1Bビザ (就労ビザ) に移って、今はグリーンカードです。
編集部:早いですね!
成田さん:日本人だと早いと思います。そもそもアメリカのマスターを持ってるとH-1Bビザの抽選で2回チャンスがあるので、最初の年にH-1Bビザを取って、その後すぐにグリーンカードを申請して、1年半ぐらいで取れました。
編集部:ちょっと僕もマスター始めようかな(笑)
成田さん:ただ実を言うと、本当は卒業が2015年の5月だったんですけど、Pinterestに就職を3月からに早めてもらって、それで最初は学部生としてH-1Bビザに応募したんです。そしたら運良く一発で通って(笑) それでグリーンカードにはマスター枠で応募したという感じです。
編集部:なるほど。じゃあ運も良かったし、Pinterestもかなり手厚く支援してくれたわけですね。
成田さん:そうですね。けど、グリーンカードもらって喜んでたらジェンダーのところに「F」って書いてあって…(笑)
編集部:まさかの?(笑)
成田さん:「F (Female) 」ってなんの略かなって5分ぐらい考えて、どう考えても違うなと思って、再発行お願いしたらそこから1年ぐらい待たされました(笑)
編集部:出た、移民局仕事遅い問題!(笑)
成田さん:そしてこの前やっと手元に届きました(笑) なので、そういったトラブルは有りましたが、グリーンカード自体は結構スムーズに取れましたね。
編集部:まさにマスターの強みですね。
Pinterestへの就職は運命的だった?
編集部:カーネギーのコンピュータサイエンスだと就活でも引く手あまただったと思うんですが、そこでPinterestを選んだ理由をお聞きしてもいいですか?
成田さん:もともとはPinterestがカーネギーメロンに採用に来てて、インタビューもワンクリックで応募できたので、インタビューの練習に良いかなくらいの気持ちで応募したんです。そしたら「本社に最終面接に来て下さい」っていう連絡が来て…(笑)
編集部:まさかの(笑)
成田さん:でも、そのPinterest本社に向かう日っていうのが、実はFacebookから選考結果が来る日だったので、もしFacebookから内定が出たら飛行機に乗るのやめようかなって思ってました。でも結局搭乗までに連絡が来なかったので、飛行機に乗ったんです。そしたらサンフランシスコに着いたタイミングで電話が来て、、、結局受かってたんですけど、ここまで来たらPinterestも行こうと思って(笑)
編集部:せっかくサンフランシスコに来たしみたいな(笑)
成田さん:そんな感じでインタビューに行ったら、そのインタビューしてくれた社員の人たちがめちゃくちゃ良くて、「こういう人たちと一緒に働けるならPinterestも良いかも」と思って、インタビューが終わって会社から出る頃には「Pinterestに行こう!」ってなってましたね(笑)
編集部:スタートアップ採用のお手本ですね。「とりあえず、話だけでも聞きにおいでよ」って言ってそこで心を鷲掴みにするっていう(笑)
成田さん:だから、結構運命的というかFacebookからの電話がちょっとずれてたら人生変わってたと思います(笑)
編集部:その社員さんたちはどんな方だったんですか?
成田さん:社員がほとんど元FacebookかGoogleの人で、僕のインタビュアーも「FacebookのLikeボタン作りました」とか「Facebookのリサーチのトップやってました」とか「Y Combinatorを卒業しました」みたいな人たちばかりでした。なので、すごく刺激的で学びのある環境なのかなと思ったんです。
編集部:とんでもない人たちですね(笑) でも、そういう人たちの近くで働けるのはユニコーン企業の魅力でもありますよね!
今後のキャリア観 / メッセージ
編集部:今後のキャリアについてはどう考えてますか?
成田さん:僕はもともとプロダクト作りが好きで、会社に帰属するというよりは自分の能力を高めたいというスタンスなので、自分が成長できる環境にどんどん身を置いていきたいなと思います。実は転職も考えたことはあるんですが、やっぱり今はPinterestでやっていきたいですね。
編集部:もともと経営も学んでいて、プロダクトマネージャー (PM) には興味ないんですか?
成田さん:僕はエンジニアで残りたいです。大学の時に色んなインターンをやって、やっぱり自分はコーディングが好きなんだなって認識したんです。PMだとエンジニア以外の人と関わる時間も多くて、そういうのは得意じゃないし自分には向いてないと思うので。
編集部:たしかにPMってそんな感じがします。では、そんなエンジニアとして活躍されている成田さんから、アメリカで挑戦したいと思っている方に何かメッセージをもらえませんか?
成田さん:こっちで働く日本人って色んな形で来ていて、日本から直接来たバケモノみたいな人もいれば、日本の外資系企業に入ってそこからアメリカに移ってきた人、あとは僕みたいに大学院を使って来た人もいるんです。
でも、個人的な経験からいうと大学院を使うのがオススメですね。アメリカだと1年のマスターもあるし、卒業後ビザ的な問題もなくこっちで働けるので。
編集部:STEM系の大学院だと卒業後にOPTで3年間働けますもんね!
成田さん:そうですね。英語がダメで…と考えている人もいるかもしれませんが、こっちで働く外国人を見てると、英語は全然できないけどコーディングができるから働けてるっていう方もいるので、専門スキルさえあれば英語のことはそんなに考えすぎなくても良いんじゃないかと思います。
まとめ
本日は、世界のユニコーン企業トップ10に君臨する「Pinterest」でソフトウェアエンジニアをされている成田康一郎さんにインタビューしました。アメリカのトップスクールを出て、キャリア的にも順風満帆な成田さんですが、飾らず謙虚に受け答えする姿からは人としての優しさを感じ取りました!僕も成田さんのような驕らず謙虚な大人になれるよう日々精進します!
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