エンジニア・投資家・サッカー選手という3つの顔を持つ男の『超戦略的生存戦略』

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流行りはIPOホッパー?

酒井さん:日本人エンジニアがシリコンバレーに来ると、みんなGoogleとかFacebookを目指すんですが、現地の人たちはちょっと違う感じで生きていく人が多いんですね。

例えば、私の知り合いに凄腕のプログラマーがいるんですが、彼はあえてQAというテストとかをやる仕事でSplunkに入ってきたんです。そうすれば、「そんなすごい人がQAやってくれるなんて」ということで簡単に入れるんです。その後、Splunkは上場したんですが、実は彼、その前にも同じことやっていて、その一個前にも株式上場を体験してるんです。

編集部:そんなIPOホッパーみたいな人がいるんですね(笑)

酒井さん:彼はそれで数十億円を手に入れて、今は好きなことをやってますね。だから、Googleとかで自分の能力を最大限に発揮しようとする人がいる一方で、自分の能力をちょっと落としてIPOしそうな会社を転々とするジョブホッパーみたいな人がいるんです。

Splunkにもハッカーとか凄腕のプログラマーがいるんですけど、そういう人たちに話を聞くと、「GoogleとかAmazonに行っても給料が良いだけで人生を変えられないから」ってことでIPOを狙ってると言ってましたね。

編集部:キャリア観がすごい(笑)

酒井さん:やっぱり日本の道徳観的には、自分の能力を最大限に発揮して頑張り続けなければいけないという考えがあるじゃないですか。でも、ここにはそうじゃない文化の人たちも大勢いて、要は「会社は自分のキャリアを高めるところじゃなくて、自分が将来やりたいことのためにお金をくれるところ」という考え方の人たちがいるんです。そういう人たちはもうリタイヤして、今は自分の好きなことをしてるわけですよ。なので、自分の人生観はそこでかなり変わりましたね。

編集部:日本で暮らしてたらまず出会わない人達ですよね。

酒井さん:シリコンバレーってお金を儲けられるところじゃないですか。なので、発展途上国の人たちはもう意地でもアメリカに来たがるんですよ。私の隣りに座ってるエジプト人の同僚が、こっちだとご飯が15ドル (1500円) くらいするけど、エジプトだと50セント (50円) で食えるって言ってたんです。だから2年働けばリタイヤしてエジプトに戻ってもいいんだと。

編集部:物価が違いすぎる(笑)

酒井さん:日本はアメリカとあまり物価が違わないからそんな考えを持ってる人はいないんですけど、発展途上国からアメリカに来る人っていうのは、意地でもお金儲けをして自分の国に戻ろうって感じだから、ものすごい勢いでH-1Bビザを取りにくるわけですよ。だから、気合いの入り方が日本人と全然違って、仕事でも何でもアグレッシブなんですよね。

編集部:たしかに「さとり世代」なんて言われる時代ですからね。

酒井さん:なので、そういう人たちと仕事をしたことで自分の考え方が変わりましたね。私自身、将来日本に戻るというのも一つの手ですが、例えば、こっちで1億円貯めて、日本より物価の低いインドネシアとかマレーシアに行くという生き方もあるのかなと。

編集部:なるほど。考え方が変わって生き方のオプションが増えたわけですね。

投資・IT・サッカーという3つの顔

編集部:酒井さんって投資家として本も出版されているじゃないですか。投資はどういうきっかけで始めたんですか?

株式投資に関する書籍も出版している。

酒井さん:サッカーで怪我をしてしまった時に、突然プロの道を閉ざされて仕事がなくなったんですよ。それで「自分の人生が一発で悪い方向に行くのは良くない」ということで投資を始めたんです。

編集部:リスクヘッジということですね。

酒井さん:それで、ドコモ時代に委託で来ていた方がすごく投資に詳しい方だったので、その人に投資のことを教えてもらったんです。結局、その方は当時36歳で数億円ほど貯めてリタイアされたんですが、そういう人を見てると「ずっと会社に行き続けなくても、投資で成功したら自分が本当にやりたいことができるんじゃないか」って思ったんです。

編集部:あくまで投資は自分のやりたいことを手助けしてくれるツールだと。

酒井さん:そうです。

編集部:それで投資を始めたんですね。ちなみに、今後やりたいことなどありますか?

酒井さん:自分の得意な分野として「IT・投資・サッカー」の3つがあって、その経験やノウハウを日本の子供たちに教えることが出来れば、世界に羽ばたく子も増えるのかなと思うので、そういった教室を開きたいですね。

編集部:たしかYouTubeもやられてますよね。

酒井さん:先日、累計100万ビューを超えました!YouTubeではサッカーの技術を教えていて、やはりそういった動画は年齢を重ねると見せれなくなるので今のうちに撮っておこうと力を入れてます。あと、投資とプログラミングも『Udemy』というオンラインコースで教えてます。

YouTubeでは「プロサッカー選手を目指す技術」を伝授

酒井さんの「Python入門コース」はかなり高評価の模様!

メッセージ / ジーコ監督の教え

編集部:最後に、何かに挑戦したいと思っている方にメッセージをもらえませんか?

酒井さん:私が常に気にしているのは「スプーン1杯のリスクを取る」ということなんです。例えば、命綱なしで綱渡りをするようなリスクを取りすぎる人っていうのは最後に亡くなってしまう傾向が多いんですね。株式投資でも同じで、全財産をかけて失敗する人っていうのは世の中に多いんです。

編集部:いわゆるリスクテイカーですね。

酒井さん:でもリスクを全く取らないのもダメで、例えば、日本人の8割以上がリスクを全く取らない人生を過ごしていると言われてるんですが、どんな成功者でも必ず人生のどこかでリスクは取ってるんです。なので、スプーン1杯ぐらいのリスクを取れば成功する確率も上がっていくんじゃないかと思います。

編集部:それは具体的にどういったことなんでしょうか?

酒井さん:いきなり起業のような大きなチャレンジをしても自己破産してしまうかもしれないので、そこまでリスクを取る必要はないと思っていて。例えば、ずっと同じ会社に勤めている人がちょっと転職をしてみるとか、それぐらいで良いと思うんです。それくらいの小さなリスクだったら失敗してもまた元に戻れますよね。

編集部:なるほど。少し勇気を出して、新たな環境に飛び込んでみるということですね。

酒井さん:そういうことの積み重ねだと思うんですよね。私はTOEIC300点でアメリカに来ましたし、大学の時も神学部から情報系の大学院に行くというちょっとしたリスクを取ってきたので。「やればできる」っていうと白けてしまうかもしれませんが、そういうちょっとしたリスクを取ってチャレンジしていけば、人生良い方向に行くんじゃないかと思います。

編集部:それがあとで振り返った時に大きなものになっていると。ちなみに、酒井さんのその戦略的な考え方ってどこから来てるんですか?

酒井さん:実はジーコ監督の教えがあって。

編集部:あのジーコ監督ですか?

鹿島アントラーズの選手時代から日本代表監督を退任するまで
15年間を日本で過ごしたジーコ氏

酒井さん:そうです!あれは私が小学生の時なんですが、学校でジーコのサッカー教室みたいなものがあったんです。それで最後の質問コーナーの時に、「ブラジルのサッカー選手は学校にも行かずにサッカーばかりやってるから、私もそれぐらいサッカーをやらなきゃいけないんですか?」って聞いたんです。

すると「ブラジルにソクラテスというサッカー選手がいるけど、彼は医師免許も取って、サッカーブラジル代表にもなった。だから、サッカーと同じくらい勉強もしなきゃダメだよ。」と言われたんです。

編集部:そんな選手がいるんですか!?

酒井さん:ジーコ監督は、怪我で選手生命を断って、スラム街に入り浸り、そして人生が落ちぶれていったという人を何人も見てきたと言うんです。だから、サッカーだけやっててもダメだよと。それが頭の中に残っていたので、勉強にも力を入れることができたんです。

編集部:では、そのジーコ監督の教えがあって、今の戦略眼が養われたと。

酒井さん:そうですね。やはり使える時間が限られている分、要領よく生きていかないと東大に行くような方には勝てないので。だから、昔からとにかく近道ばかり探してました。

だから、もう一つメッセージがあるとすれば、良きタイミングで良き指導者に自らアドバイスを聞きに行くというのも大切なのかなと思います。ジーコ監督の時も、自分から聞きに行ったことが、その後の自分の人生に上手く活きたので。

編集部:今日はすごく面白い話が聞けました。酒井さん、本当にありがとうございました!

まとめ

今日はビッグデータの解析ソフトを提供する『Splunk』にてソフトウェアエンジニアを務める酒井潤さんにインタビューしました。

その戦略的な生き方からは考えさせられる点が多く、また英語よりも大事な専門スキルの話やIPOホッパーの話からは「シリコンバレー流のキャリア観」についてお伺いすることができたように思います。僕も酒井さんのように、自分なりの『超戦略的生存戦略』を見つけてみます!(笑)

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(書き起こし協力: 川原拓也 / 編集: 中屋敷量貴)

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SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

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