エンジニア・投資家・サッカー選手という3つの顔を持つ男の『超戦略的生存戦略』

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神学部の教授が勧めた「ITと英語」

酒井さん:よく本では「自分のやりたいことをやれば成功する」って書いてますが、現実問題それがうまくいかないケースもあって、神学部の教授に「何か良い道はないですか?」って聞いたら、「今後はITと英語ができれば食っていけるよ」って。

編集部:神学部の教授がITと英語を勧めてきたんですか?(笑)

酒井さん:神学部でサッカーしかやってこなかった学生にITと英語をやったら食っていけるってなかなかアドバイスできないと思うんですよね(笑) あと、その教授に「ITだと新しい言語とか分野がすぐ出てくるから、先を見据えて一番需要がある分野を一つ極めれば、ずっとITをやってきた人たちにも追いつけるし追い抜けるよ」って言われたんです。

編集部:良い意味で現実が見えてる教授だったと(笑) それでITに興味を持って、大学卒業後は北陸先端大で情報工学の修士号を取られたわけですね。

北陸先端科学技術大学院大学は、石川県に本部を置く国立大学

編集部:その後、NTTドコモに入社されていますが、それはどういう経緯だったんですか?

酒井さん:当時はまだ「iモード*」の時代だったんですけど、誰に話を聞いても今後はモバイルが来るという感じだったので、やはりその産業に入るのがベストなんじゃないかと思いドコモを選びました。
*NTTドコモが提供する世界初の携帯電話IP接続サービス。

編集部:なるほど。そこもこれから来る分野に張ったというわけですね。その時の職種はエンジニアだったんですか?

酒井さん:いわゆるSE (System Engineer) ですね。

編集部:じゃあ、SEとして技術サポートみたいなところをやられたと?

酒井さん:そうです。でもドコモって結構委託が多くて、技術的なことは全くやらなかったんですよ。だから、技術を身に付けないと将来的に良い方向に行けないなと思って、上司にお願いして委託で来てくれる方と一緒に仕事をさせてもらったんです。そこでプログラミングとかネットワークの実際の技術を身に着けていったという感じです。

ハワイで起業!?

編集部:その後、ハワイで起業されていますが、ドコモというドメスティックな会社で働いていて、どういう経緯でアメリカに目を向けるようになったんですか?

酒井さん:ドコモで働いていた時に、Windowsモバイル関連のプロジェクトに参加していて、その時に米国マイクロソフトのエンジニアと台湾HTC社のエンジニアと一緒に仕事をしていたんです。

マイクロソフトから来たエンジニアはもちろん英語を喋るんですが、台湾から来たエンジニアも英語が喋れて、聞くと社内のコミュニケーションは英語だと言うんです。その時、ドコモ側だけに通訳がいて、まずそれにショックを受けたんですよね。しかも、通訳されたITのレベル自体も高くて、ITでも英語でも置いていかれていると。

編集部:もう2周遅れみたいな(笑)

酒井さん:なので、このまま日本にいたら世界に置いていかれるかもしれないという危機感を感じたんです。教授の「トップに身を置くと良い」という言葉を思い出して、トップと言えばアメリカのシリコンバレーだなと。それが海外に目を向けたキッカケですかね。

編集部:そこでシリコンバレーではなくハワイを挟んでいるのはどうしてですか?

酒井さん:もちろん初めからシリコンバレーに行きたかったんですけど、まずビザの問題もあるし、TOEICも300点ぐらいで全然英語もできなかったので。。。

TOEIC300点からの海外転職に関する書籍も出版されている。

編集部:下手したらそこらへんの大学生より出来ないみたいな(笑)

酒井さん:そうですね(笑) なので、まずはハワイに会社を作ってウェブ系サービスのビジネスをやれば、その過程で英語も勉強できるし、会社経営の勉強もできるからMBAを取るよりも近道かなと思ったんです。利益が上がれば自分にビザも出せるので。

編集部:投資家ビザですね。

酒井さん:そうです。あとは、当時日本で株式会社を作ろうと思ったら、資本金が1000万円必要だったんですが、それがアメリカだと1000ドル (10万円) でできると。なので、アメリカで本社を作って、日本に支店を作れば、日本でも株式会社という名刺が使えたんです。

すると、ハワイに本社があるということで色んな社長さんから興味を持ってもらえて、一緒に仕事をすることができたんです。なので、土台に乗るというのが一番大切で、そうすることで経営の勉強もできました。

編集部:環境の力を利用すると。

酒井さん:そうです。運ってコントロールすることはできないけど、向上させることはできると思うんです。例えば、アイドルになりたいっていう人が、田舎の道を歩いていてもなかなかスカウトされないですよね。でも、渋谷とか原宿を歩けば、勿論最後は運ですけどスカウトされる確率は上がると思うんです。なので、そういったことを常に頭に入れて、運を上げるように行動するのがベストなのかなと思いますね。

編集部:じゃあ、ハワイに会社を作ったというのも最先端に身を置くための合理的手段だったというわけですね!

大事なのは英語じゃなくて専門スキル

編集部:その後、どういう経緯でアメリカに来たんですか?

酒井さん:そのウェブ系のビジネスをやってると、やっぱりすぐアメリカに行きたくなったんです。でも、すぐアメリカに行けるほど資金が貯まるわけでもなかったし、英語もそんなにできなかったので、また近道を探したんです。

編集部:それはどんな近道ですか?

酒井さん:要は、日系企業と取引をしている在米日系企業への転職を狙ったんです。そういった企業だと英語だけでなく日本語も必要になるのでチャンスがあるかなと。当時、求人内容的にネットワーク系とウェブ系が多かったので、起業した時もあえてウェブ系にして、ドコモにいる間もネットワーク関係の資格を沢山取ったんです。

編集部:めちゃくちゃ戦略的ですね(笑)

酒井さん:それで、狙っていた企業のウェブサイトを毎日チェックして、求人が出た瞬間に応募しました。それでスカイプ面接したら、かなり向こうも人の採用に焦っていたらしく、「来週アメリカに面接しに来て下さい」という感じで、急遽アメリカに行って、面接して、帰国した次の日には内定を頂いてという感じでした。

編集部:じゃあ、1社目で受かったんですか!?

酒井さん:そうですね。

編集部:日本からアメリカへ転職する場合、ビザの問題とかもあってかなり時間がかかると聞くので、やはり戦略性というのは大事なのかもしれませんね。

酒井さん:戦略的にやると、簡単ではないですけど比較的狙いやすいのかなと思います。あと、アメリカでH-1Bビザ (就労ビザ) を取ろうと思うと、MBAを取ってすごく英語がペラペラな日本人の方でも難しいケースがあるんです。

そして、よく調べてみると、そのH-1Bビザの取得に実は英語力って必要なかったんですよね。要は専門スキルがあって、それを証明する資格と経験があれば良いだけなんです。

ビザについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧下さい。

編集部:なるほど。

酒井さん:そして一度アメリカに来てしまえば、もう周りはアメリカ人だらけなので、英語は学びたい放題じゃないですか。例えば、日本で1回40分の英会話に10回行ったとしても、それって合計したら1日にも満たないわけで。それならまずはアメリカの企業にいけるように努力した方が絶対に近道だなと思ったので。

編集部:普通の日本人だと「英語ができないと土俵に立てない」って考えますけど、そうではなくあえて専門スキルを伸ばしたということですね!

酒井さん:やっぱり日本で働いてた時は、みんな「英語しゃべれるの?」って聞いてきたんですよ。でもそれって実は重要じゃないので、もしアメリカへの転職を狙う方がいたら、まずはビザの条件を調べた方が良いんじゃないかなと思います。

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SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

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