サンフランシスコで起こるおにぎりブーム、火付け役が語る #全米500店舗展開への勝算

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お米へのこだわり

編集部:ちなみに、お米ってどうされてるんですか?日本から輸入してるんですか?

金松さん:お米はカリフォルニア米を使っていて、お米の農家に五分づき米にしてもらってます。前は小さい農家さんに供給してもらってたんですけど、米が特殊すぎて、生産が追いつかないんですよね。100%白米とか100%玄米だったら常に在庫があるんですけど五分づき米でしかもオーガニックっていうすごく…

編集部:マニアックな(笑)

金松さん:アニアックすぎて(笑) あと面白いのは、アメリカ人には白米のおにぎりがあんまり受けないんですよ。米の塊みたいなイメージがあるらしく。

編集部:そこは日本人とは感覚が違うと。

金松さん:メインがあって、横にちょっとご飯があるぐらいなら良いらしいんですけど、米が、しかも白米がどーんってくると引いちゃうらしいです。

編集部:まさに文化の差ですね。

金松さん:だから、僕らはオーガニック玄米で、しかも五分づきだから食べやすくて消化もしやすいみたいな健康アピールをしてるんです。それで、五分づきという比率にたどり着いたのも2年くらい前なんですよね。その前は三分づきだったり、もち米と玄米を混ぜたりしてたので。

編集部:お米だけでも色々と試行錯誤したと。

金松さん:色んなブランドのお米を使ったり、色んな機械を使ったりしました。実はOnigillyを創業した直後のテント時代に100万円くらいする機械を買っちゃったんですが…

編集部:え、買っちゃった?

金松さん:三角形のパテを作る機械を買ったんですよ。しかも友達にお金を借りて。でも、もち米と玄米でやってたらくっついて動かなくなって…

編集部:まさか壊れたんですか?

金松さん:壊れてはないんですけど、結局使えなくなって、返品もできなくて…結局手で作ってみたいな。

編集部:それは、、、ちなみに、お米というところで気になるのが、こっちのお米って美味しいんですか?

金松さん:けっこう美味しいですよ。やっぱり、日本のはしっとりしてて美味しいんですけど、高いですよね。あと、例えば〇〇県産のコシヒカリみたいなものを輸入してきたとしても、日本人じゃないとそのブランドの良さって分からないじゃないですか。

だから、もし僕が日本人のこだわりあるシェフだったら、そこにこだわってしまってフードコストも高くなってたと思うんですが、僕らはもうそこにはこだわらないと決めたので。

編集部:カリフォルニア米も十分美味しいから、そこは日本産にはこだわり過ぎずにやっていこうということですね。あと、今後全米に500店舗展開するとなるとお米の生産が追いつくのか気になるんですが、そこは大丈夫なんですか?

金松さん:大丈夫ですね。前はそこがネックだったんですけど、キッコーマンの子会社にJFCという全米最大のネットワークを持つ日本食材のディストリビューターがいて、そこの本部が動いてくれたので。普通はいきなり本部が動くってありえないらしいんですが。

編集部:すごい!それ、どうやって口説いたんですか?

金松さん:そのJFCの担当者がすごく熱い人で、その人がめちゃくちゃ動いてくれたんです。Onigillyが潰れたらクビになるんじゃないかくらいの勢いで。

編集部:それはやばい(笑) それくらいOnigillyのファンだったんですね。でも、いかに人を巻き込めるかっていうのは大事ですよね。

金松さん:そうですね。僕は最初からかなり本気で、全米1のチェーンになると思っているんですが、昔はそう思ってくれる人がいなくて、今はちょっとずつ信じてくれる人が増えてきたのかなと思います。

Onigillyのメニュー: 全部食べた結果、高菜、蓮根、味噌ナス、
そぼろ、うなぎがオススメ。うなぎが本当に美味しい!

競合はバナナとリンゴ?笑

編集部:こっちだと寿司とかラーメンが人気ですが、やはりお米というところでいうと競合は寿司になるんですかね?

金松さん:寿司とかPoke (ポケ) ボウルが出てきて、みんなが「競合いっぱい出て来てるね」みたいなことを言うんですけど、たぶん競合じゃないんですよね。

ポケボウルとはハワイ料理の一種で海鮮丼のようなもの

編集部:競合じゃない?

金松さん:今、Onigillyってサンフランシスコに4店舗あって、だいたい隣とか向かいのお店が寿司屋とかなんですけど、お客さんが減ったかというとむしろ増えたくらいなんです。だから、たぶん僕らの競合はパワーバー、バナナ、リンゴとかだと思うんですよね。

編集部:どういうことですか?(笑)

金松さん:アメリカだと、それ以外にさっと食べられるものないじゃないですか。

編集部:たしかに、日本にいた時はコンビニでおにぎりとか買って食べてたけど、こっちに来てからはそれがバナナとかリンゴになりましたね…

金松さん:でも、おにぎりだったら片手で食べられるから、空いた手でマウスとかスマホも使えるし、運転だってできるんです。だから、おにぎりに変わるものって実はないんですよね。

編集部:言われてみるとそうですね。ちなみに、顧客としてはどういう人が多いんですか?

金松さん:20-40代くらいの健康志向な人が多くて、若干女性が多いですね。あと、日本人とかアジア人が多いわけでもなく、色んな国の人に人気です。

編集部:じゃあ、人種や国境を超えて受け入れられていると。ポテンシャルがありそうですね。

店内は開放的でカラフルな色調となっている

投資家の顔ぶれが期待値の高さ

編集部:ちなみに、今って投資は受けてるんですか?

金松さん:投資をもらい始めたのも割と最近なんですが、少しずつ受けてます。投資家はほぼ全員IT関連の人で、例えばFacebookの初期のリードプログラマーで、Facebook Japanの立ち上げもやったようなすごいお金持ちの人であったり。

編集部:Facebook Japan?

金松さん:はい。香港系アメリカ人の方で、日本に2年住んでて、いつもおにぎりを食べてたらしいんですけど、アメリカに帰って来たらおにぎりがなくて自分でやろうかと思ってたくらいの人で、そんな時にOnigillyを見つけて「なんて素晴らしいんだ、協力させてくれ」って。

編集部:同じ課題を抱えていたと!

金松さん:あとは、あのモバイルゲームと野球チームで有名な会社の元会長であったり。

編集部:Dから始まりそうな…気がしますね。

金松さん:あと食品業界だと、すごく大きい飲料会社のファウンダーとか。

編集部:そうそうたる顔ぶれなわけですね。

金松さん:ただ、ありえないと思うんですよ。そういう普通だったら会ってもらえないような人たちが、面白がって協力してくれるっていうのが。たぶん僕らがやっていることがあまりにもマニアックすぎて、そういう人たちの心をくすぐってるのかなって思います。

編集部:たしかに、おにぎり屋で全米500店舗作るなんて聞いたことないです!

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