盗作を恐れ、ガーナへ
ガーナは西アフリカのギニア湾に面する国
ダイヤモンド、金、カカオ豆の産地として有名
吉田さん:修士論文を書くとき、よく盗作が問題になるじゃないですか。だから、スーパー極論、絶対盗作じゃないって言い切るには、今まで誰も行ったことのない村に行くのが一番だったんですよ。特に、僕は貧困解決がテーマだったので。
編集部:それがガーナだったと。
吉田さん:そう。あと、知り合いがガーナに行ってたというのもあって、バーミンガムの大学院時代からガーナには行ってたんです。それで、現地でJICAという外務省の国際協力部門のような人たちにもお世話になってて。そしたら、「ここで働いちゃえばいいじゃん」みたいな話になったんです。
自分としても国際協力に携わりたかったし、かと言っていきなり国連なんて無理だろうと思っていたので、JICAなんてもう完璧じゃないかと。なので、「卒業したら絶対行く」みたいな感じでガーナに行きました。
編集部:ちなみにガーナでは何をしたんですか?
吉田さん:ガーナはサッカーが人気なので、今となってはベタかもしれないですけど、それこそW杯の予選とかハーフタイムのときに、エイズやHIVをどうやったら減らせるかというのを、ちょっとエンタメを使って分かりやすく伝えたりしてましたね。
やっぱり観衆の人でも分かってない人が多いので、ああいう感染率が高い病気に関する教育は大事なんです。
編集部:そこをエンタメでわかりやすく教育していたわけですね。ちなみに、ガーナで困ったことって何かありましたか?
吉田さん:困りはしなかったですけど、雨が降ったらすぐ腰くらいまでいっちゃいますし、やっぱりずーっと湿気てるので、もう蒸し蒸しを超えてたりはしましたね。
あと、ずっとガーナのものを食べてたら、自分では臭わないんですが、やっぱりインドの方にはインドの香りがするように、僕もガーナ的な匂いがする体臭に変わっていて。。。それも困りはしなかったですが、日本から来た方に会うと「あっ… (鼻をおさえる)」みたいなのはありましたね(笑)
編集部:体臭を含め、色々と入れ替わったと。やはり、ガーナといえばチョコみたいな匂いがするんですか?
吉田さん:いや、なんて言ったらいいんでしょう。基本的にチャーハンみたいなやつとフライドチキンみたいなやつなんですけど、それがかなり特殊な味で。
編集部:エキゾジックな…
吉田さん:そうそう!それが、めちゃくちゃおいしくて。
編集部:おおお!
吉田さん:それをずっと食べてたら、それっぽい匂いに変わっちゃいました。
編集部:なるほど…
吉田さん:あと、僕たち日本人は自分たちのことを黄色人種だと思ってますけど、彼らにとっては白人なので、白人さん白人さんって言われるんです。彼らは、自分が今まで出会ってきた黒人の方の中でも見たことないくらい肌が黒いんですね。
このとき、なにかしら自分の中に偏見って入ってるなって再確認したんですけど、100人の中に自分だけ白人として1人いて、あと99人真っ黒っていう状況だと、どれだけこの人たちが良い人たちだと分かっていても、「なんかこの人たち怖いんじゃないか」って最初の頃は思っちゃったんですよね。
編集部:圧迫感みたいなものですかね。ただ、それは人種に関係なく、違う国の人だからというのもあったのかもしれないですね。
吉田さん:そうですね。あと、当時ガーナでは飛行機に乗ったらすぐ落ちるって言われていて、というのも古い機を使っていたので。だから、飛行機はあまり良くなかったですね。
それで、飛行機の場合、無事に着陸したらみんな拍手なんです。パチパチパチって。あと着陸の時もアナウンスがなかったり。
編集部:じゃあ、インフラはあまり整っていなかったと。
吉田さん:ご飯もおいしかったですし、人も良かったですし、一応外務省の中では渡航禁止区域のトップ10に入るエリアではあったんですが、実際に行ってみたら良いところでしたね。
ただ、ちょっと悲しかったのは、日本人としてはやっぱりガーナといえばチョコレートっていう感じで、「日本ではガーナチョコレートがすごく人気なんだ!美味しいよね!」って話を振るわけじゃないですか。
でも、ガーナの大半の人がチョコレートがカカオからできてるってことを知らないか、そもそもチョコレートを食べたことがなかったりするので、話が通じなかったんです。
編集部:え、そうなんですか!?
吉田さん:「・・・。」みたいな。それは少し悲しかったです。ただ、ガーナは文化も含めて色々と興味深い国でしたね。
編集部:そこには人との繋がりや愛があったと。そして、そこからアメリカですよね?
吉田さん:そこから少しだけ霞ヶ関の外務省で働いて、シカゴの総領事館で外交官 (スポークスマン) をして、6年前かNEW PEOPLEに移ってという感じですね。
なので、最初にエンタメ (ホリプロ) に行って、次に国際協力 (JICAでガーナ) に行って、両方を経験した上で、自分はエンタメの方があってるかもしれないなとなったわけです。