ゼロからのアメリカ移住 ー 全てを失くして這い上がった男の「サバイブ論」

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アメリカ移住での学び / 現実が正解

編集部:この10年を振り返ってみて、何が一番大事だったと思いますか?

中島さん:仕事は大事。「人生をサバイブする」ということを因数分解すると、やはり「稼ぐこと」なんですよ。稼ぐというのは自分の働きに対する世の中からの対価なんです。だからまずは世の中に認められて対価をもらえるようにならないとダメですよね。

編集部:ちなみに、本当にどん底を見てきて、世の中に対する僻みや妬みはなかったんですか?

中島さん:ありましたね。特に家族を失ったときは、楽しそうに暮らしてる家族を街中で見るのが本当に辛かったです。「なんで俺ばっかりこんな辛い思いをしなきゃいけないんだ」と思ってました。だから、ものすごい妬みや僻みをずっと抱えていたんです。

だけど、全部を失って我に返った時に、そうやって妬んでばかりで、目の前にいる人たちの価値を認めてこなかったから、自分はここにいるんじゃないか?」と初めて思えたんです。

編集部:本当に追い込まれて初めて自分を客観視できたと。

中島さん:昔は自分のことを特別だと思っていて、コツコツやるなんて自分には合わないと思っていたんです。だから、常に近道を探したり、一段飛ばしを試みたり、ある日突然人生変わるんじゃないかと現実逃避的なところもありました。

でも、僕が好きな談志師匠の言葉にもあるように「現実が正解」なんです。「俺はこんなはずじゃない」と思ってもダメで、今ある現実が全てなんです。それに嫉妬は、自分よりも優れた人を自分の位置まで引きづり降ろす行為だから、誰もハッピーにならないんですよ。

編集部:妬まず現実を受け入れるということですね。

中島さん:だから、脳にある嫉妬という回路を切って、妬んだり愚痴を言うのをやめたんです。そして、昔の自分が一番嫌いだった「階段を一歩ずつ登る」ということを始めたんです。すると、突然ではないですが少しずつ物事が好転していったんですよね。

編集部:それが今の仕事にも繋がっていると。

中島さん:だから、特に移民で来ている人たちや、這い上がりたいと思って頑張っている人たちに最初のきっかけを与えたいなぁ、という思いは強く持っています。アメリカだと職歴がないと何も始まらないですし、最初から良い条件のところにはいけないので。

ここで頑張って次に良いところがあれば良かったねと送り出してあげる。自分がその「仕事」という部分で苦労してきたからこそ、関わって縁がある人には仕事を与えていきたいですし、できることはしていきたいと思っています。

今後のキャリア観 / サバイバルの次へ

編集部:今後のキャリア観などありますか?

中島さん:今までは「サバイバル」をキーワードにやってきたのですが、そのフェーズは一旦終えたいですね。生き延びるのってすごく大事な能力ではあるんですが、それだけだと自分本位なマインドセットなので、スケールしにくいんです。

なので、今はどうすればお客様やパートナー様たちと一緒に成功していけるのか、明るい未来を描けるのか、また、それを通して社員がハッピーになれるのかというところに想いを馳せています。

編集部:たしかに、それはサバイブの次のフェーズですよね。

中島さん:そのためにも、ミッションやビジョン、さらには自分たちのバリューをきっちりチームに共有・浸透することが結果としてチームとお客様の成功に繋がると思っているので、今はそのフェーズを目指しているところです。

これは僕にとっては物凄いチャレンジなんです。今でも目をつぶると、あのガレージが思い浮かびますし、あの時の恐怖が蘇ってくるので。でも、今は価値を認めてくれて応援して下さるお客様もいるので、そういった方々にも恩返しをできればと考えています。

メッセージ / チャンスを逃すな

編集部:では最後に海外で挑戦したいと思う人にメッセージをいただけますか?

中島さん:年代によって違うと思いますが、20代だったら「目の前にあるチャンスを逃すな」ですね。実はチャンスは目の前にいっぱいあると思うんですが、本人がそれに気付かないとそのまま終わってしまうんです。

例えば、すごくしんどくて、なぜ今こんな状況なんだと思う人もいるかもしれませんが、しんどいんだったらどうやって変われば良いのかを考えるきっかけがそこにはあり、それに対してアクションを起こすチャンスがありますよね。

編集部:たしかに、そういう意味ではチャンスは平等にあるのかもしれないですね。

中島さん:結局、誰も与えてくれないとか、周りと比べてなんで自分だけと思っている人は、飼い犬と根性が一緒なんですよ。あそこの飼い主の方が良い餌をくれるとか、あそこの方が犬小屋が大きいと言っているペットと同じだと思うんです。

でも、人は人間である以前に動物だと思うので、自分で食べて生きていくという本能的な力を身に付けた方が良いと思うんです。機会やチャンスはまさにその餌だと思うので、それを自分で取りに行く感覚を磨くと良いと思います。

編集部:思考を変えて、自分の行動を変えていくと。

中島さん:だから、目の前にあるチャンスを見逃すなと。必ずどこかに勝機があるんだと思っていれば何か見えてくるし、どうせないと思っていたら何も見えないんです。

ただ、その目の前に均等に与えられた条件の中から、可能性を見い出せるかどうかは教養や知性も重要になってくると思うので、勉強は大事ですね。

メッセージ / 勉強は大事

編集部:勉強というのは学校の勉強ですか?

中島さん:学校の勉強はすごく大事だと思います。色んな国の人たちが、その国の歴史の上に立って生きているわけなので、どのように世の中が動いているかを知るためにも、最低限の世界史や宗教に関する知識は大事だと思います

あと、当然ですがアメリカで生きていくなら英語は死ぬ気でやった方がいいと思います。僕自身、英語ができないと死ぬと思ったので、1日5時間×3ヶ月くらいかけてケンブリッジの「Grammer in Use」という分厚い本を7回転したら英語に困らなくなりました。

編集部:1日5時間って難しくないですか?

中島さん:たしかに社会人の方には難しいかもしれないですが、1日5時間くらいすると脳の中に英語の回路ができてくるので良いと思います。

当時は起業したタイミングだったんですが、会社もあまりうまくいってなくて暇だったのと、「英語ができないと死ぬ」という状態だったので、ずっとカフェで勉強してました。

編集部:それくらい追い込まれて、死ぬ気でやると人は変われるということですね。

中島さん:だから学生さんは狂ってるんじゃないの?というくらい勉強した方がいいと思います。そしてそれと同時に、臆病にならないで大胆に行動できる勇気があるといいですね。

教養がある上での大胆さと、それがない独りよがりな大胆さって全然違うと思うので。というのも、誰しも一人で生きているわけではないので、何事も相手を慮(おもんばか)れないとうまくいかないですよね。

編集部:たしかに、教養と大胆さが合わさったらどこでも成功できそうですね。

中島さん:僕はアメリカに来て死にかけたから腹が決まって頑張ったわけですが、日本にいたら逃げ道がいっぱいあったし頑張らなかったのではないかなと思うんです。何もしなくても生きていけるし、家族や親戚もいるから多分死なないし。

結果的に自分の経験を通して、どんな状況でも、自分で終わりだと決めつけて可能性を閉ざさない限り、道は開けるんじゃないかと思います。僕みたいなやつでも何とかなったんだから、若い人たちも諦めなければ何とかなるんだよ、ということを今後も伝えていきたいですね。

編集部:何事も諦めずに、可能性を信じて生きていくことが重要だということですね。中島さん、今日は大変ユニークなお話をありがとうございました。

おわりに

本日はFujisoft AmericaでCOO兼CFOをされている中島さんにインタビューしました。

英語力・人脈ゼロからアメリカに移住し、寿司屋の下働き、起業、解雇、ブラック企業など、様々な逆境を「サバイブ」してきた中島さんのお話からは、些細なチャンスに目を向けて、諦めずに挑戦し続けることの重要性を教わりました。

僕もアメリカで這い上がって、お世話になった方々に恩返しができるよう精進していきます!

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