専攻は生物学と政治学?
編集部:大生くんって幼少期はバルセロナで過ごしたんでしたっけ?
大生くん:2歳までなんで覚えてないですけどね(笑) その後、3歳から小4までベイエリア、小4から中3まで東京、そして高校でニューヨークに行って、大学がカリフォルニアです。
編集部:なんだか激しいですね(笑) 大学はUC Berkeleyですけど、大学の時にアメリカに残ろうと思ったのはなぜですか?
卒業生には孫正義やスティーブ・ウォズニアックがいる。
大生くん:当初は日本に帰る予定で、日本の大学を受ける準備もしてたんですけど、せっかくアメリカにいるし、周りもみんなアメリカの大学を受けてたので、とりあえず受けるだけ受けてみたんです。そしたら何個か受かったので、学費は高いけどオプションとしてアメリカもあるのかなと。
編集部:最終的な決め手は何だったんですか?
大生くん:理由は主に三つあるんですけど、まず一つ目が、実はその時までちゃんと勉強したことがなかったんですよ。もちろんこっちの大学に入るには勉強もしないといけないんですけど、こっちって課外活動も評価の軸なんですよね。なので、スポーツ、音楽、ボランティアなどもしていて、総合的に見るとやはり勉強の時間がそんなに長くなかったんです。人生どっかでは死ぬ気で勉強しないといけないなと思っていたので、それを考えた時にたぶん日本の大学よりはアメリカの大学の方が周りに勉強する人が多いかなと思ったんです。
編集部:なんだかストイックですね(笑)
大生くん:二つ目の理由が、中学の頃からすごく社会学とかに興味があって、最終的には高校のときに政治に興味を持って、政治学を勉強したいなと思ってたんです。実はUC Berkeleyってアメリカの中でも3本か5本の指に入るくらい政治学が強い学校で、もちろんどういう基準で測るかによるんですけど、日本に行くとなかなかそういう大学で勉強する機会はないんじゃないかと思ったんです。
編集部:バークレーって政治学が強いんですね。
大生くん:三つ目の理由が、政治には興味があったんですが、もし勉強して嫌いだったらどうしようかって考えるわけですよ(笑) それを考えた時に、日本の大学だと受験の段階である程度専攻を決めないといけないじゃないですか。でもアメリカの大学だと、基本的に3年目くらいまでは自由に授業を選択できて、何が好きで何が嫌いかっていうのを見極める猶予があるので、それは自分にとってすごく大事かなと思ったんです。
編集部:たしかにこっちはその辺がフレキシブルというか、結構転々として自分のやりたいことを見つけて卒業する人も多いですもんね。ちなみに、大学では最初から政治学を取ったんですか?
大生くん:最終的には政治学と生物学の二つに落ち着いたんですが、哲学、統計、物理の授業とかも取ったりしましたよ。というのも、もともと得意だったのは理系科目だったので。
編集部:生物学はどういう軸で興味が湧いたんですか?
大生くん:もともと人間の動きとかに興味があって、それを政治学でマクロに、生物、特に細胞生物学でミクロに見てたので、今思うとマクロとミクロ両方の視点で人間の動きを見たかったのかなと思います(笑) だから、ダブルメジャーする人はいるんですけど、理系と文系でやる人はいなくて、専攻を決める時に政治学と生物学のダブルメジャーをしようとしたら、カウンセラーの人に「お前クレイジーなの?バークレーの中でもたぶん歴史上2人目だよ。」と言われました(笑)
編集部:それどうなったんですか?(笑)
大生くん:卒業する手前の最終学期までは両方取ってたんですよ。でも、その最終学期で運良くフランスのパリにある政治学校、政治家とか官僚を排出している学校に留学できるチャンスが巡ってきて、でもそっちに行くと生物の単位を落とさないといけなくて… かなり迷ったんですが、この機会は逃したくないと思い、最終的にはフランスに留学しました。なので卒業した時には政治学しかなかったですが、それでも理系科目の方が2倍以上は授業を取ってましたね。
編集部:なんだか勿体無い気もしますが、そこは貴重なチャンスだったから行くしかなかったわけですね。
超過酷なインターン
編集部:大学時代にやばいインターンをしていたという噂を聞いたのですが…
大生くん:僕、幼少期に見た「火垂るの墓」以来泣いたことなかったんですよ。でも、そのインターンでは最初の週に3回泣きましたね(笑) それくらい過酷なインターンでした。
編集部:それはどういったインターンなんですか?
大生くん:Southwestern Advantageっていう150年くらい続いてるアメリカでは結構有名なプログラムで、内容としてはアメリカの田舎で学習教材を飛び込み販売するという、要するに知らない人の家をひたすらドアノックする感じです。週100時間は働いてましたね(笑)
編集部:週100時間ってイーロンマスクでしか聞いたことないですよ(笑)
大生くん:実はインターンシップではあるんですが、ビジネスとして全部自分でやらないといけないんです。しかも貯金も持っていっちゃダメなので、教材が売れないと食事もできないし、住んでる家も蹴り出されるんです。なので、いかに極限の状態で頑張れるかっていうのが試されるインターンですね(笑) インターンに来る人も修行というか精神を鍛えに来てる感じだったので。
編集部:もう軍隊のブートキャンプですね(笑) それって応募する人はいるんですか?
大生くん:実はかなり人気で、応募しても100人に1人しか通らないような結構コンペティティブなインターンなんです。というのも、先輩のネットワークがかなりすごくて、現エネルギー長官のリック・ペリーさんやボストンコンサルティンググループ創業者のブルース・ヘンダーソンさんもこのインターンの卒業生なんです。
編集部:顔ぶれがすごい(笑)
大生くん:なので、これを乗り越えてすごいところに行ってる方も多いので、自分もやってみたいと思ったのが興味を持ったきっかけですね。実際に卒業生何人かにお会いしたんですが、オーラが違うというか、どんなことがあっても絶対自信を持って突き進めるような感じの人が多かったです。
編集部:途中でプログラムを辞退する人はいなかったんですか?
大生くん:プログラム自体は12週間で、選考の段階で結構タフな人ばかりを揃えてるんですけど、それでも最初の1週間で半分くらい辞めますね。みんな泣いて帰ります。僕も泣いたんですけど、ここで妥協したら今後の人生でも妥協が増えるなと思ってそれだけはやめようと必死に食らいつきました。だから、もうどんな日でも、台風とか洪水の日もあったんですけど、ひざ下まで雨が来る中でも絶対外で営業してましたね(笑)
編集部:向こうもそんな日に来たら何が来たんだってなりません?(笑)
大生くん:逆に雨の日ってみんな家にいて暇してるのでチャンスなんです(笑)
編集部:たしかにピンチはチャンスって言いますけど…(笑)
大生くん:あとインターン自体はニュージャージー州のすごく田舎の方だったので、普段なら絶対会わないような貧しい人からめちゃくちゃ裕福な方まで色々と触れ合えて、そういう意味では「ああ、これが本当のアメリカか」っていうのは体感できましたね。
編集部:インターンが終わった時はやっぱりスーパーサイヤ人みたいな気持ちだったんですか?なんでも来い的な?(笑)
大生くん:そうですね。これ以上辛いことはないだろうし、なんでも来いみたいな感じではありましたね。ただ、頑張り過ぎた反動で終わった後2ヶ月ぐらいずっと熱がありましたが(笑)
編集部:燃え続けたわけですね(笑) でも良いですね。学校では政治を勉強して、インターンではビジネスに触れられて。
大生くん:そうですね。営業ではあったんですけど、会計、在庫管理、コスト管理なども全部自分でやったので、すごく勉強になりました。コストを下げるためにいかにサンドイッチを少なくして、ハムとレタスだけで食い繋ぐかみたいなことも考えてたくらいなので(笑)