TOEIC305点からの海外MBA。夢だったテレビ局を退職、「当たり前のキャリア観」が壊された80分の授業。

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死ぬほど入りたかったテレビ局時代

編集部:ここから過去の話を聞いて行きたいんですが、新卒ではTBSに入社されたということで、それはどういう経緯だったんですか?

森井さん:僕は死ぬほどテレビ局に入りたかったんです。中学生の頃からテレビ局に入るんだって決めていて、大学選びも日本で1番マスコミ就職率が高いのが早稲田大学の教育学部社会科学専修だと知って、そこに決めました。

編集部:本気度がすごいですね(笑)

森井さん:大学1年生の頃からテレビ局入るための就活やインターンをしてましたね。テレビ局に入るためには就職留年も覚悟してたんですけど、無事に当時視聴率2位でイケイケだったTBSに入社することができました。

編集部:念願だったテレビ局での生活はどんな感じでしたか?

森井さん:みんな社会人になって忙しくなると、だんだんテレビを観なくなるじゃないですか? でも僕は本当にドラマとかテレビが好きだったんで、番組を録画してポータブルDVDプレイヤーで観ながら通勤したり、テレビ局の廊下を歩きながら観たりというのを、スマートフォンがない時代からずっとやっていました。

編集部:ホントにテレビが大好きなんですね(笑) でも、そこまでして入りたかったテレビ局をどうして辞めたのですか?

森井さん:テレビが好き過ぎて辞めたのかも?(笑)  僕の夢はずっとテレビのプロデューサーになることだったんですね。でも、いざなってしまうと、結局何のためにやってるんだっけ?みたいな疑問にぶつかることが結構あったんです。
最近も、ベンチャーに憧れた学生が「起業」がゴールになっているのが問題だと言われたりしますが、当時の僕もそんな感じで、手段と目的がごっちゃになっていました。
とは言え、宣伝部門のプロデューサーとして有名な番組をいくつも担当して、夢が叶った感じもありつつ、だからこそ、次の夢を見つけなきゃ!みたいな焦りが生まれてきました。

編集部:夢が叶った後の葛藤があったと。

森井さん:カッコ良く言いましたが、実際には超ハードワークな制作の現場に心身疲弊することも多かったですね。加えて当時、ちょうどTBSが楽天に買収されちゃうのかも!?テレビの在り方が変わる?みたいな話もあって、色々なモヤモヤの中で、いずれにせよもっとすごいことをやるには自分のインプットが圧倒的に足りないと思うようになってきたんです。そこで、今まで全くと言っていいほどやってこなかった「勉強」に向き合うようになりました。

編集部:改めてちゃんと勉強をしようと思った時に、海外MBAを目指したのは何かきっかけがあったんですか?

森井さん:元々、テレビ局のプロデューサーに英語はいらないだろと思って、高校時代から英語は勉強してなかったんですよね。大学でもあえて英語じゃなくてスペイン語取るぐらいで、英語はなんかむかつくみたいな感じだったんで、入社時のTOEICも305点でした(笑)

編集部:なるほど、どうせ必要ないから勉強しないと(笑)

森井さん:でも、世界陸上の担当をしている時に、オリンピック金メダリストのアメリカ人に東京を案内する機会があって、「あぁ会話できたらな」と思うことがあったんです。
あとは、報道の部署にいた時、海外の事件が立て続けに起こってTOEICの点数が高い同期がどんどん順番で派遣されていくのに、点数が低かった僕ともう1人の同期だけが残ってテープ整理してるみたいなことがあって。

編集部:そこで英語が出来ないことによる不遇な思いをしたわけですね。

森井さん:それで、英語いるじゃんって思ったりして(笑)
あとは、テレビ局の中で実際にすごい放送作家とか有名なプロデューサーを見ていても、過信の可能性は大ですがアイデアとか企画力とかは超トップの中でも勝負できるんじゃないかという自信は自分の中であったんです。
でもそれを実現するための予算やマネジメントだったりのビジネスの部分はサッパリだなぁと。そういう思いから、本場のアメリカで英語でビジネスを身に付けようと思ってメディア専門MBAプログラムを持つMetropolitan College of New York (メトロポリタン大学) でメディアとエンタメについて本気で勉強することにしました。

Metropolitan College of New Yorkはニューヨークのマンハッタンにある私立大学。

キャリア観が崩れた忘れられない授業

編集部:海外に実際に行かれて、苦労したことはありましたか?

森井さん:最初のセメスターは、人生で初めてドラマを観ない期間ってぐらい勉強量がきつくて、もう帰りたいと思うほどしんどかったです。英語もギリギリでクリアして滑り込んだ感じだったので、ヒーヒー言っていてました(笑)

編集部:海外MBAはやはり大変ですよね、、、 勉強量以外の部分で、何か価値観が変わった部分はありますか?

森井さん:価値観を変えた話で言うと、一番最初のアントレプレナーシップの授業で、教授が「あなたの会社を説明してください」って聞いてきたんで、僕は「I‘m from TBS, one of the biggest TV networks in Japan」みたいなことを答えたんです。
そしたら、「No no no、あなた自身の会社よ。あなたはこれから何をするの?」って言われたんです。

編集部:なるほど、「あなたが勤めている会社じゃなくて、あなたが作りたい未来の会社は何ですか?」って質問だったんですね(笑)

森井さん:それで、ハッとして、そんなこと全く考えたことなかったなぁと思って。せっかくTBSを辞めて渡米したのに、卒業後はあわよくばフジテレビとか違うテレビ局に入ろうかな、電博も良いよなぁ、映画なら東宝かなぁみたいなことばかりを入学直後は考えてたんですよ。

編集部:あくまで会社員としてどのメディア企業に入るかみたいな。

森井さん:それが「そうじゃなくて、あなたの人生のミッションは何?というのをその教授から問われてからは、「何するんだっけ俺?」みたいなことを相当考えましたね。それ以降、どこに所属するかより自分がどうするのかを強く意識するようになりました。

編集部:その考え方はアメリカでは特に強調される部分ですよね。

森井さん:あと、もう1個面白い授業があって、セメスターの最終テストの直前に、先生が「皆さんで個展を開きます」って言ってきたんです。

編集部:個展?

森井さん:各自キャンバスとアクリル絵の具を買ってきて、絵を描けって。

編集部:えっ、マジの絵画の方ですか?(笑)

森井さん:そう、絵画の展覧会をやるって(笑)
なんでテスト前の1番忙しい時やねんってみんな思いながら。

編集部:MBA全然関係ない(笑)

森井さん:僕なんて、マンダラのコーナーがあるからってマンダラを2枚書かされたんですよ。

編集部:しかも自分がやりたいテーマじゃなくて勝手に設定されるんですね(笑)

森井さん:それでキャンバスを買いに行って、ちゃんとやったわけですよ。それで完成した後に、教授がみんなの絵を見ながら、「あなたが書いてきた2枚のうちの片方は今回飾らないことにする」って言ってきたんですよ。

編集部:まさかの不採用(笑)

森井さん:僕はめっちゃ怒って、
「いやいや、この忙しい時期に言われた通り2枚書いてきて、飾らへんってどういうことやねん」って反論したんです。
「え、イライラする? 怒る?」みたいなことを教授に聞かれたから、「怒るに決まってるんじゃないですか」って返したら、
「そう、それが選ばれない側の気持ちよ。メディアマネジメントの中でコンテンツを扱うということは、結局誰か選ばれない人がいるの、だからそれを体感して欲しかった」って言われたんです。

編集部:すごいどんでん返しですね(笑)

森井さん:まんまとやられたと思いましたね(笑) だから、何か選ぶときは、何かを切らなきゃいけないけど、それは本当に切っていいのかということにもちゃんと目を向けるというのは今でも考えるようにしてます。

編集部:それはすごく大切な視点ですね!

森井さん:その学校は、別に偏差値がすごく高いわけではないけど、教授も生徒も本当にエンタメやメディアに特化した人ばかりが集まってるプログラムだったので、いろんな気づきはありました。

オフィスにはTeslaの車を加工して作った受付がある。

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1990年6月8日生まれ。埼玉県川口市出身。
2013年、一橋大学商学部経営学科卒業。株式会社SpeeeにてSEOやWebマーケティングのコンサルティング等に3年半従事したのち、イノベーションの最先端であるシリコンバレーでチャレンジしたいと考えて渡米。現在は、UC Berkeley Extensionにて経営とプロジェクトマネジメントを専攻。
座右の銘は「やらぬ後悔よりやった後悔」。

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