TOEIC305点からの海外MBA。夢だったテレビ局を退職、「当たり前のキャリア観」が壊された80分の授業。

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ハワイでレストランをやる予定だった?

編集部:MBA後にソフトバンクに入社されたのは、どういった経緯だったんですか?

森井さん:本当はハワイでアミューズメントレストランをやりたくて…

編集部:それはまた大胆な方向に(笑)

森井さん:最初は日本でネットへのコンテンツ配信とかを考えていたんですけど、結局それは自分1人ではできないと気づいたんですね。さらに、クラスメートが在学中に半分ぐらい起業してたのもあって、自分で全部決めれることで勝負しようと思ったんです。

編集部:それで起業を考えたわけですね。

森井さん:俺のやりたいことなんだろうって思ったら、何かスペシャルなものを提供して人を喜ばせたいっていう想いが強くあったので、じゃあハワイでアミューズメントレストランをやろうと。それでハワイにも滞在して、不動産を調べたり、弁護士さんと相談しながらやり方を検討してたんです。

編集部:結構本格的に調べていたんですね!

森井さん:ただ、こんだけ死ぬ気で勉強したら自分も変わってるだろうから、今の自分の力を試したいという気持ちも少しあって、海外留学生には定番のボストンキャリアフォーラムに参加したんです。

ボストンキャリアフォーラム(通称ボスキャリ)とは、毎年11月頃にアメリカのボストンで3日間開催される世界最大級の日英バイリンガルのための就職イベント。

アメリカでは主流の就活?ボストンキャリアフォーラムとは – PARAFT

森井さん:そこで色々見ている中にソフトバンクもいたのですが、ぶっちゃけソフトバンクのことは当時は全然知らなくて、携帯の会社というのと、あと孫さんが同じ高校だったんで、地元一緒だなぐらいな感じで思っていて。

編集部:ホリエモンなど奇才を数多く輩出してると噂の久留米附設高校ですね(笑)

森井さん:とりあえずエントリーシート出してみたら、面接官が人事役員の有名な方で「ハワイでこういうことやりたいと思ってるんですよね」という話をしたんです。そしたら、「いいじゃん、やれよやれよ! ソフトバンクでやればいいじゃん!」って言われて(笑)

編集部:まさかの提案(笑)

森井さん:「うちはなんだってできるよ!」って(笑) 本当に何でも出来るのかはさすがに疑い半分だったんですけど、もしこの人が言っていることの半分ぐらいが本当だとしてもすごい楽しい会社だなと思ったんですよ。
テレビ局など自分が知ってる会社とは全然違う空気感だなぁと感じたのもあって、この人が言ってることを信じてみようと思ってソフトバンクに入ったんです。

編集部:なるほど。入社後、ハワイのレストランはやったんですか(笑)?

森井さん:それで言うと、社内のビジコンでは出しましたよ! せっかく携帯でアメリカ放題をやってるんだからって色々こじつけて、まぁ結局やらせてもらえなかったんですけど(笑)

編集部:さすがのソフトバンクでもそれは駄目だったんですね(笑)

森井さん:でも、本当に好きなことをやらせてもらいましたね。テクノロジーに触れたり学んだりすると、アイデアとかやりたい事は次々に浮かんできたので。こんなにめんどくさい社員はいないだろってくらい、入社当初に自分がやりたいなって思ってたことの何倍も色々とやらせてもらえました(笑)

編集部:それはすごく良い環境ですね! 入社時は東京勤務だったんですか?

森井さん:実は一番最初入社する時に、「海外と日本ならどっちで働きたい?」ってことも聞いてくれたんですけど、その時は「東京一択で!」って答えたんですよね(笑)

編集部:あれ、てっきり最初から海外勤務を希望したのかと思ってました。

森井さん:めっちゃ日本に帰りたかったですね。テレビも見たかったし(笑)

編集部:たしかにニューヨークでもずっと見てたぐらいだから(笑)

森井さん:あと、社会人を数年やるまで英語を1ミリもやってこなかった人間が英語で勝負するのはやっぱり難しいなとその時は思ったんですね。僕は人と話すのが大好きで日本語だとしゃべり放題みたいな感じなんですけど、英語で働く自信がなかったのも含めて東京を希望しました。

孫さんにラップでプレゼン?

編集部:その後、シリコンバレーに来たのはどういう流れだったんですか?

森井さん:最初はコンテンツのアライアンス営業として働いていたんですが、ある時海外関連の大きなプロジェクトにアサインされたんです。

その時の上司が「海外での仕事は場数が大事だからとにかく行ってこい!」ってどんどん海外に送り込んでくれて、チームで英語を話せる人がいなかったのもあったのですが、ソフトバンクを代表して毎日僕が何かを英語でしゃべるみたいなことになったんですね。

編集部:なかなかすごい状況ですね(笑)

森井さん:それをやってるうちに「うわ、アメリカとか海外で働くって楽しいかも!」と思うようになったんです。1人でNY出張に行かせてもらって、ホークスのユニフォームを着てSportsとTechのイベントに乗り込んだこともありました。

編集部:そこで海外で働くイメージが湧いたと。

森井さん:あとは、すごく良い出会いがあったのも大きいですね。ある時上司に呼ばれて、「今度、リクルート出身ですごい人が入社するんだけど、ちょっと変わってる人なんだよね。お前も変なやつじゃん? だから、2人でコンビ組んだらすごい上手くいくかもしれない。もしかしたら悪い意味でヤバいことになるかもしれないけど、まぁそしたらまた考えよう」みたいな感じでその方とコンビを組むことになったんです(笑)

編集部:異端児同士を一旦組み合わせるみたいな(笑) もうなんか漫画ですね(笑)

森井さん:その方は渋谷さんという方で、今はソフトバンクを辞めてドイツで活躍されています。当時は役職的には僕の上司になったんですが、例えば僕がニュースを見てて「ビットコイン面白いですね!」と言うと、「え、何が面白いの?」と聞いてくるんです。
「えー、仮想通貨とかなんか未来な感じがして」みたく僕が答えると、「え、何が未来なの? そもそも通貨ってさ、昔は石だったわけじゃない?」みたいな話から始まって(笑)

編集部:ヤバい、ヤバい(笑)

森井さん:「氷と木の箱が冷蔵庫になって、馬が車になったわけじゃない? じゃあ、結局ビットコインは何なの? 結局それは石と同じ役割なのか、それとも別の何かなの?」みたいな(笑)
でも、そういう考え方が僕にはすごくフィットしたみたいで、自分にとってはMBAの時間よりもその人と過ごした1〜2年の方がリアルに学んで成長してる実感がありました。
投資のディスカウントキャッシュフローなんかも、授業でちょこっとやって忘れていましたが、実際に企業買収とかを計画するタイミングで実践的に教えてもらいました。

編集部:実践を通じた学びは大事なんですね。

森井さん:その人は過去の経験上シリコンバレーにも精通していたので、僕に色々な人を紹介してくれたりして、シリコンバレーの歩き方みたいなものを教えてくれました。シリコンバレーへの興味はその人からの影響が大きいですね。

編集部:アメリカで働くのはソフトバンク内でも狭き門だと思うのですが、最後に何か決め手があったんですか?

森井さん:当時、孫さんの講演のシナリオライターや資料作成を担当させてもらっていたこともあって、直接プレゼンの機会を得られたんですね。その時にラップでプレゼンをして、、、

編集部:えっ、孫さんにラップでプレゼン(笑)?

森井さん:その時はフリープレゼンだったんで、とにかく目立ったろうと思って、最初にボイスパーカッションみたいなことをいきなりやったら、会場がシーンとして(笑)

編集部:まぁそうなりますよね(笑)

森井さん:それで「いまビビったっしょ? 俺はこういう驚きをテクノロジーを使って作りたいんだYo」みたいに始めて、最後は「アメリカ行かせてくださいYo」みたいな(笑) まぁやり方は破天荒かもしれないけれど、しっかりロジックやファクトは盛り込んでいったので。
そしたら孫さんが「行ってこいよ」って言ってくれて、それでシリコンバレー行きの辞令をもらいました。

編集部:すごい展開(笑) 自らシリコンバレー行きの切符を掴み取ったわけですね。

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