「アクションを起こし続けることが大事」GFR Fundに聞く シリコンバレー村社会への入り方

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技術力よりも大事なPMF?

古森さん:めちゃくちゃ活きてますね。でも、これはちょっと変な話になるんですが、技術力はなさすぎてもダメですが、たとえあったとしても売れないものは売れないんですよ。

編集部:どういうことですか?

古森さん:要は、モノを売る上では、プロダクト・マーケット・フィット (PMF) も大事で、そんなに大したことないプロダクトでも、PMFをちゃんとすればガンガン売れる場合もあるんです。

その良い例が、『Dollar Shave Club』のサブスクリプションモデルで、これは月額数ドル払えば、髭剃りとシェービングクリームが家に届くようなサービスなんですが、これってなんの技術革新もないじゃないですか?

でも、これがたしか最終的にはユニリーバに10億ドル程度 (1000億円くらい) で買収されたんです。

Unileverが10億ドルでDollar Shave Clubを買収した理由  | TechCrunch Japan

編集部:そんな大金で売れたんですか!?でも、たしかに技術的なイノベーションの要素はないですね。

古森さん:そう。だから、これはまさに技術力ではなく、どちらかというとプロダクト・マーケット・フィットを見つけて売り込んだ成功例です。

とは言うものの、それはかなり特殊な例なので、VR/ARにおいてはある程度技術的に高いアドバンテージを持ってることは大事だし、僕もそこを非常によく見てますね。

例えば、ARクラウドって、クラウドポイント型、3Dモデル型、画像特徴点型の3パターンに分類されるんですが、僕は彼らがその技術についてちゃんと説明できるかとか、あとはどうサーバーとやりとりして、どうデータを縮小化するかといったことも全部聞くんですね。

そして、そういう細かいところまで全部答えられるところはすごく良いなと思います。そういったところは真に技術力・競争力があるので、他社がやりたいと思ってもそうそう真似できないっていう良さがありますよね。

編集部:たしかに!

古森さん:特にARクラウド系はマシンラーニングとかディープラーニングのようにデータを突っ込んだ者勝ちみたいな部分があるので、どれだけデータを突っ込めるかがキーになってくるんです。

だから、早いうちから技術的なアドバンテージを持って、トレーニングデータをガンガン突っ込めているところは非常に良いですね。それを正しいマーケットでやってたら、それはもう投資したくなる案件です。

編集部:ちなみに、データという観点から言うと、GoogleやFacebookといった既に膨大なデータを持つところが最終的に勝つんじゃないかと思うんですが、そこはどうなんですか?

古森さん:そこはおっしゃる通りで、勝てるのかっていう質問があるんですが、僕らはGoogleやFacebookがやりそうなところには投資しないです。

逆に彼らに将来買われそうなところに投資する方が正しいかもしれないですね。だから、何かの分野でイノベーションを起こそうとしていて、それに関連する元Googleの人とか元Facebookの人たちがジョインしていたりすると良いサインです。

編集部:じゃあ、投資するかどうかを決める時ってかなり見るところが多いわけですね。

古森さん:多いです。かなり多角的な目で見てますね。

日本のスタートアップは世界で勝てるのか?

編集部:例えば、日本のVR/ARのスタートアップがこっちで挑戦するとなると、どういったことに気をつければ良いと思いますか?

古森さん:単純にプロダクトの話だけじゃなくて、マーケティングやネットワーク、あとは現地での採用といったクリアしないといけないことがめちゃくちゃあるので、どちらかと言うと、作ってるモノや技術以上にそっちのハードルが高いかもしれないですね。

例えば、医療系だと手術のシミュレーションをVRでやろうとか、医療系の情報をARで出しながら手術しようみたいな話がたくさんあるんですが、医療のマーケットに入っていくためには医療関係者との繋がりがないとまず成功しないですよね。

というのも、保険のシステムから国の規制まで日本とは全く異なるので。

だから、もともと医者だったり、医療系のでっかいIT系のスタートアップで働いてたり、もしくは医療系のネットワークに長けた人たち、そして彼らが「この問題ならVR/ARで解決できるはずだ」っていう感じじゃないと、ネットワーク的、マーケット的、規制的に難しいと思います。

編集部:間違いないですね。

古森さん:医療は極端なケースですけど、建設業界、エンタメ、SNS、ゲーム…全ての産業で同じことが言えるんです。

だから、その業界で正しいことができるビジネスデベロップメントの人を採用したり、そのコミュニティで強靭なネットワークを持つ人を採用するのも良いかもですね。

編集部:たしかに、最近日本で上場したメルカリも、アメリカ側では元Facebook幹部のジョン・ラーゲリンさんが参画したことで、彼の持つネットワークが人の採用やビジネスにも活きているという話を聞いたことがあります。

古森さん:だから、例えば、日本の方がアメリカで成功したいっていう場合、すぐ来て起業でもいいんですが、まずはこっちにある自分の興味ある産業のスタートアップで3年くらい修行じゃないですけど、そこでネットワークを築くのも良いのかなと。

そこで、自分がその業界のキーパーソンを招待してイベントを運営する。で、自分のファンを1-2万人くらい作って、そこに自分のプロダクトを投入するくらいのやり方をしないと難しいんじゃないかと思います。

編集部:そうすることで、ビジョンに共感した人も集まって、そういう人たちが持つネットワークも使えたりしますもんね。

古森さん:でも、たぶんこれは日本の方が日本でスタートアップをする場合も一緒だと思いますよ。ほら、よくあるじゃないですか。元サイバーエージェントの人たちが集まって起業したとか、元DeNAの人はDeNAのネットワークで繋がってるみたいな。

だから、アメリカに来た人がいきなりノーネットワークで成功できるかというと、相当厳しいと思います。そして、そこをクリアしていくにはかなり時間がかかるんじゃないかと思いますね。

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SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

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