「アクションを起こし続けることが大事」GFR Fundに聞く シリコンバレー村社会への入り方

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VRへの投資は冷え込んでる?

編集部:では、少し話題を変えて、VR/ARの投資状況やトレンドについてお伺いしても良いですか?

古森さん:VR、ARで区切って話しますね。まずVRに関して、マクロなトレンドのお話をすると、2018年5月現在で、VRの投資環境は相当冷え込んでると思いますね。

編集部:え、そうなんですか?

古森さん:はい、相当冷え込んでます。

編集部:それはどういった要因で…?

古森さん:要因はいくつかあるんですけど、まず1つ、特にネガティブでもないのが、いわゆるトップVCとか我々のようなVR/AR専業の投資家たちは、すでに投資し終わってるんですね。

例えば、今2018年5月の状態で「VR向けのSNSをやる!」みたいな会社があったとして、もはや誰も投資しないですよね。

だって、Facebookがやるって公言してるし、『VRChat』もあんなにユーザーの規模が大きく育ってるし、あとはマイクロソフトに買収されてしまいましたけど、『AltspaceVR』だってあるし。

マイクロソフト、ソーシャルVRの先駆けAltspaceVRを買収 | Mogura VR

なので、結局SNS、VRみたいなアドバタイジングVRとか、360°型のVRとか。今でいうVRのアーケードとか、そういう市場が大きいところは投資が終わっちゃってるんですよ、すべて。だから、あとは成長を見守るだけという感じです。

編集部:種まきが終わったということですね。

古森さん:そうです。他の投資家もそうだと思うんですが、一旦その芽がどうなるかは多少様子待ちというところもあるので、それが特にネガティブではない投資状況上のお話です。

そして、少しネガティブな話をすると、僕らが予想したよりマーケットが育ってなかったというのがありますかね。

編集部:と言いますと?

古森さん:具体的な数字では説明できないんですけど、ゲームだけで言えば、今だいたい1億円以上を稼いでるタイトルが世界に25本あるんですね。

編集部:そんなにあるんですか?

古森さん:でも、あれだけ星の数ある会社の中で、25社しか勝者がいなかったんです。やっぱり、これが100とかじゃなきゃいけなかったんですよ。そして、1億じゃなくて、10億稼いでいる会社が25社とかじゃないといけなかったんです。

たしか、今一番売上を上げているところでも、5億円とか10億円のレンジなんです。そのレンジだと、そんなに時価総額も大きくなかったりするので。

シード投資って、たくさん投資した案件のうち、ほんの数社で大きなリターンを得るという感じなんですが、まだその規模だとその域に達してないので、マーケットが伸びるスピートが若干遅かったかなと思っていて、それが投資が冷え込んでる2つ目の理由ですね。

この2つの理由で、今VRの投資が厳しい状況になってるのは間違いないです。

ただ、最近だと『Oculus Go』のように、デバイスの値段も下がってきてるし、小型化も進んで性能も上がっているので、徐々にマーケット的な厳しさは雪解けしていくのかなとは思いますね。

とはいうものの、僕個人としては、2019年上旬くらいまでは、今の状況が続くのではないのかなというのが正直な感想です。2019年後半から2020年前半にかけてゆっくりと雪解けが始まっていくのかなと考えてます。だからそのタイミングで、投資の第二ウェーブが起きる可能性は見つつ行動してますね。

編集部:その第二ウェーブというのは、どういったものなんですか?

古森さん:それは、さっきのSNSとかアドバタイジングの投資ではなくて、よりコンテンツ的な投資が佳境に入るんじゃないかと思いますね。例えば、Free to Play VRなんて、まだ誰も投資できていないので。

今って、いわゆるプレミアムコンテンツのVRしか世の中にないんですけど、モバイルのアプリを見ると、Free to Playっていうのが1つのキーワードなので、Free to Play VRとかも、来年の今頃には始まってるかもしれないですね。

ARのマクロなトレンド

編集部:一方、ARに関してはどうですか?

古森さん:ARはこれまた色々と難しいんですが、ざっくりいうとVRより2-3年くらい遅くれて進んでいる感じだと思ってもらうのがちょうどいいですね。そして、今一番活況なのがARクラウドです。

編集部:ARクラウド…ですか?

古森さん:ARクラウドというのは、空間の絶対ポジションを認識して、その空間の3Dモデルなり、画像の特徴点なりを全部クラウド上で管理する技術ですね。

それで、クライアントを立ち上げた瞬間に自分の位置を予測して、自分の位置及びその周りにある3Dオブジェクトを現実世界にダウンロードしてくるわけです。「ARクラウド 古森」って検索すると良い記事が出てくるので、興味があればぜひ読んでみてください。

編集部:ぜひ読ませてもらいます!

古森さん:それで、今はARKitとかも出てきて、現実世界の3Dオブジェクトとかってなんとなく面白そうに思えるんですけど、まだまだできないことがいっぱいあって、例えば、永続性とマルチプレーヤーというのがまだできないと言われているんですね。

それは何かというと、例えば、今二人の間に3Dキャラクターを置いて、お互いのスマートフォン越しに見合ってるとするじゃないですか。でも、現時点では、二人の間に正確にこの3Dキャラクターを置くことはできないんです。

つまり、僕はここに置いたけど、このポジションを相手のスマホのクラウドから把握する技術はないということです。

と同時に、そこに何かを置いて、一旦アプリケーションをクローズして、また3日後とかに立ち上げて、その時にそこに物体が永続するような技術もまだないんです。

2018年7月現在、 ARKit 2.0(Apple)やARCore 1.2(Googe)の発表がありARクラウドの機能が近い将来iOSやAndroidで使えることが期待されている。

編集部:特にそれを地球規模でやろうとすると、膨大なデータの保存とGPSを含めた空間認識力とかも必要になるから技術的に難しそうですね。

古森さん:膨大な話です。なので、ARクラウドというのは、PCにおけるインターネットだったり、インターネットにおけるSNSという感じで、ARクラウドを制した人はすごく成長するよねと言われてます。

で、そのシード投資が過去半年くらいすごく活況だったんです。このシード投資がだいたい2017年の9月から始まって、2018年の3月で終わりました。

編集部:あ、終わったんですか?

古森さん:終わりました。ニュースを見てる限り、ティア1からティア4まで、だいたいチェックし終わりましたね。

編集部:じゃあ、もう待つしかないと。

古森さん:そうです。ARクラウド以外にも、AR周りを支える開発基盤的なところへも一通り投資が行われて、この辺はみんなシード投資が終わりましたねっていうところです。

あと、いわゆる本命とされてるARグラスもまだ20万円とか40万円という世界なので、一般のユーザーたちがダウンロードして楽しむところまではまだ時間がかかるかなと思っていて、当面はエンタープライズ系を中心に伸びていくと僕は予測してます。

編集部:たしかに、一般ユーザーにはまだまだ高いですよね。ただ、最近はスマホのARアプリも増えていると思うのですが、そこに関してはどうですか?

古森さん:これは僕じゃなくて、他の投資家たちが言っていることなんですが、例えば、ゾンビが襲ってくるようなゲームなら、ARよりVRの方が没入感があるし、わざわざARのアプリとして携帯をかざす必要ってないですよね?

だから、僕個人としては、次に来るARアプリの分野はディスカバリーだと思っていて…

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SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

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