ドイツ企業SAPに学ぶ #後天的なイノベーションの起こし方

この記事をシェア!

この記事の所要時間: 2158

スタートアップはどうすれば良いか?

編集部:今、日本の大企業もオープンイノベーションと言って、もっとベンチャーと組もうと取り組みをされていますが、どうすれば日本のスタートアップが大企業に対してより大きなインパクトを発揮できるとお考えですか?

坪田さん:やはりオープンに交わる体系ですよね。大企業がイノベーションを起こすための機会点をいかにスタートアップが担保できるか、仕組みとしてどれくらいその中に入っていけるかが重要で。

例えば、先ほど話した「Business Innovators Network」というコミュニティは、まさにそのためのもので、そこに日本の優れたスタートアップ、デザイン会社、ベンチャーなどを巻き込んでいこうというわけです。

編集部:たしかに、日本の大企業の場合、信頼や実績がないからという理由でスタートアップと取引しないこともあるけど、そこにSAPが入ることで一緒にやっていけるのであれば、それは両者にとってメリットがありますよね。

坪田さん:2つメリットがあって、まず期間が短縮化できますよね。スタートアップって資金的なことも含めて、1つの案件に1年も2年も待ってられないんです。もう1つは、2社集まると「1 + 1 = 3」 というシナジーがあること。そういったことをお客さんに担保していければ僕らとしても最高ですよね。

僕らのベンチマークの1つに、国連が定める「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs) があって、それを「Business Innovators Network」の目標とも捉えているんです。

やはり、イノベーションは雑に起こすんじゃなくて、目的がないといけないんです。なので、自分たちの目先の事業課題を解決することが、社会課題のようなスケールアップした課題の解決に繋がるということが、このコミュニティの目的でもあるわけです。

デザイン思考の内製化

編集部:例えば、坪田さんの話を聞いて「デザイン思考すごい」ってなっても、日本に帰って、月曜日にミーティングして、「はい、今月の売り上げ目標はここ」って言われちゃうと、また足元の業務やらなきゃって感じで、全然デザイン思考を実践できないみたいなこともあるんじゃないかと思うんですが、そこはどうやって個人単位で変化を内製化していけば良いんですかね?

坪田さん:まず前提として、デザイン思考は万能じゃないんです。さっき言ったように問題発見の手法なんですね。なので、もう問題が分かりきっている場合には機能しづらいんです。そういう場合には、ロジカル思考とか的確に実行していく力が必要です。

ただ僕は、デザイン思考は少なくとも大企業なり、大きなビジネスの一端を担う個人が身に付けておかなければならない素養、能力だと本気で信じています。

そして、デザイン思考はマインドセットと訓練なんです。だから、一回デザイン思考のワークショップをやって終わりとか、デザイン思考の本を読んだからできるようになるみたいなものでもないんです。

やはり教科書と機会の掛け算なんですね。つまり、ちゃんと体系だった仕組みを自分の中で知っているかということと、それを訓練する場数をどれくらい持てるかが重要なんです。

編集部:インプットとアウトプットを両方回していくことが大事だと。

坪田さん:そうですね。そして、デザイン思考は一人でやるものではなくて、チームでやっていくことが大事です。要は、みんながデザイン思考を持っていれば、新しいものを生み出せる確率が飛躍的に高まるよねということです。

日本企業が躓く点

編集部:日本企業がデザイン思考を取り入れようとした時に、一番躓くのはどの部分なんですか?

坪田さん:解く問題を間違えることですかね。デザイン思考をやることが目的になってることは多いです。本当に解きたい課題を、真面目に本気でデザイン思考使って解いてるかということがあって、「これデザイン思考にありそうだな」って選んでませんか?という。

編集部:なんとなくデザイン思考が使えそうなものに取り組んでしまうと。

坪田さん:あと、よくあるのが「デザイン思考はうちに合わなかった」といって一回で諦めることですね。でも、デザイン思考はマインドセットなので、何回も何回もやっていく必要があるんです。僕ら15年間もやってますから。

編集部:たしかに15年間やってきたからこそ、やっとそれが事業的に芽吹いてきたわけですもんね。なんだか後天的なイノベーションの起こし方が分かってきた気がします!坪田さん、本日はどうもありがとうございました。

おわりに

本日は、SAPのシリコンバレー拠点にてPrincipalをされている坪田駆さんに「後天的なイノベーションの起こし方」についてお伺いしました。

45歳と古くて重い企業だったSAPがいかにしてイノベーティブな企業に変革したのか、そして、いかにデザイン思考が企業変革に重要なのかが分かりました。

また、ドイツという日本同様の終身雇用制度や文化背景を持つ国の企業が変われたということは、日本企業も同様に変わっていける余地があるということだと思います。

ミレニアル世代が台頭するこれからの時代だからこそ、僕もその一人として日本の国力を上げていけるよう尽力していきたいと思います!

▼坪田さんが気になった方はこちらもどうぞ

  • 創業45年の老舗企業が挑戦するイノベーションの定着化|SAP blog
  • シリコンバレー進出25年のSAPが戦略的に張るスタートアップ支援プログラムの全容 | SAP blog
  • 国内企業との共同イノベーションを促進、SAPがコミュニティ始動 | ASCII.jp

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

今後の取り組みについては、FacebookページやTwitterでも随時最新ニュースを更新していく予定です。もし興味がある方はこちらもいいねやフォローをしていただけますと幸いです。

メルマガ「SiliconValleyWorkers通信」も始めました。週1回から月1回の頻度で新着情報や求人情報、編集部の気になるトピックなどを発信する予定ですので、興味のある方はぜひ登録してみてください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

SiliconValleyWorkers編集長。愛媛県松山市出身。2016年、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻(相田研)修了。工学修士。現在はシリコンバレーのIT企業で仕事中。座右の銘:「現状維持は衰退のもと」

スポンサーリンク
Simplicityのレクタングル大